海からの使者 イルカ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
●本の内容について 本書は主にイルカの保護について考えてほしいということを目的にしています。 前半は、イルカと人とのかかわりについて考えるために、欧米の神話を取り上げ、欧米のイルカ観について紹介されています。 後半は、近代に実際に人と交流をしたという記録が残されているニュージーランドのビーチにあわられたオポと呼ばれたイルカのお話しです。オポの存在は物語ではなく実話なので、実際の記録をもとに細かに書かれています。オポが謎の死をとげた部分では少しだけ気持ちが落ち込んでしまいました。ただ、藤原先生がそのことをできるだけ真実に近づくように力を尽くしてくださっていることで救われる思いもしたのです。 藤原先生はあとがきで、イルカの殺戮や保護について考えてほしいということを述べられています。アメリカのオオカミ殺しと日本のイルカ殺しが常に重なっているということも書かれています。 ●本を知ったきっかけと藤原英司先生のこと この本を知ったのは、藤原英司先生が野生のエルザの翻訳者であったことと、野生動物の絶滅などに関心があっていくつかの書籍を読んでいたからかと思います。 そのころ、野生動物保護活動で自分にできる範囲でお手伝いできればと思い、藤「エルザ自然保護の会」の会長をしている藤原英司先生に、自分の地域での活動についてお尋ねしたところ、エルザ自然保護の会としては九州での活動はないが、天草地区でイルカの保護活動を立ち上げている地域団体があるのでそちらに連絡してほしいというお返事をいただいたという経緯がありました。 その後、藤原英司先生が参加されるセミナーに参加する機会がありました。そのときは蚊も殺さないという先生の徹底した姿勢に驚いたものです。しかし、アメリカの動物絶滅の研究などをとおして得られる日本の危機感については、常識で考えていては追いつかないという先生の主張も身に沁みるところです。 エルザ自然保護の会は、現在ではとても大きな活動になっているようです。引き続き野生のイルカの数や捕獲数について訴える活動を継続されています。 ●イルカのオポのこと 偶然のふしぎなできごともありました。ニュージーランドに行った際に、たまたま時間つぶしで立ち寄った図書館で「オポの写真展」を開催していたのです。このときは本当にビックリしました。たくさんのビーチで人と交流する野生のイルカオポの大きな写真が飾られていました。 ビーチでの人とイルカの交流がどのようなものであったのかは、直接自分がそこにいたわけではないのでわからないこともたくさんあります。それでも、野生の海からやってきて再び野生の海に戻っていくという自由なオポと名づけられたイルカが人に与えた影響については、はかりしれないものがあったと思います。 ●最後に この本は犬について知るための本ではありませんが、野生動物と人とのかかわりやその文化を知るきっかけです。そして藤原英司先生のことばに触れるチャンスでもあります。 野生動物はペットとは違います。そのペットもはじめは野生動物であったことをときどきは思い出してみることは、動物と暮らすことを再認識しより良い関係を考えるきっかけになります。
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