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サドから『星の王子さま』へ の商品レビュー

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2017/12/16

フランスの小説家7人をとりあげ、それぞれの魅力をフランス文学者である著者が語っている本です。サブタイトルに「フランス小説と日本人」とあるように、日本人の作家や批評家たちが、とりあげられているフランス小説をどのように受容したのかということについても触れられています。 あつかわれて...

フランスの小説家7人をとりあげ、それぞれの魅力をフランス文学者である著者が語っている本です。サブタイトルに「フランス小説と日本人」とあるように、日本人の作家や批評家たちが、とりあげられているフランス小説をどのように受容したのかということについても触れられています。 あつかわれている作家は、マルキ・ド・サド、バルザック、ヴィクトル・ユゴー、モーパッサン、サン=テグジュペリ、サルトル、アゴタ・クリストフです。三島由紀夫とサドとの関係や、サルトルと大江健三郎の関係など、これまでも多くの論者たちによってとりあげられてきた影響関係についても、著者自身の観点から鋭い考察が展開されています。 個人的に興味深く読んだのは、バルザックと谷崎潤一郎の関係についての議論でした。著者は、『鮫人』でバルザックのリアリズムの手法をていねいに学びとった谷崎が、『源氏物語』の現代語訳によって日本の伝統に根ざした文体を彫琢したことで、大作『細雪』が生まれたという見方を示しています。

Posted byブクログ