少年小説大系(第24巻) の商品レビュー

遠藤寛子【編】

2019/06/02

この手の小説はどういう話に転んでいくか予測がつかないところが面白い。昨今の子供向け作品のように明るく楽しいだけの話もあれば、反対に思いつくだけ不幸を背負わせるものもあり。当時の風俗の描写や繊細な心理描写なんかも、冒険活劇が大半の少年小説ではなかなか得られまい。
そんな中でも、男性との関係を主軸に据え、ハッピーエンドで終わらない石狩少女はかなり異色に思えた。

本書中に火事三件。大人になって忘れがちな、火に対する根源的な恐怖を思い出す。