ぼくは旅にでた の商品レビュー
家族に囲まれ、おもちゃ工房で暮らす日々の中に過った「罠」という言葉。ぼくは、その「罠」の正体を見極めるため、旅に出ることにした。 児童文学作家でおもちゃ作りでも著名な作者の紀行文。長瀞から西に行き金沢に抜け、富山から八ヶ岳を経てまた戻ってくる「行きてかえりし物語」。ほぼ全ての行...
家族に囲まれ、おもちゃ工房で暮らす日々の中に過った「罠」という言葉。ぼくは、その「罠」の正体を見極めるため、旅に出ることにした。 児童文学作家でおもちゃ作りでも著名な作者の紀行文。長瀞から西に行き金沢に抜け、富山から八ヶ岳を経てまた戻ってくる「行きてかえりし物語」。ほぼ全ての行程を歩いて旅する著者の姿を、著者自身が俯瞰で書き連ねていく。肉体を酷使して行く中で、自分自身にある複数の自分(視点)を見つめ直していく。これは「旅」というよりは、「彷徨」のように思う。目的地は漠然としていて、観光が目的でもない。旅という形式の中で彷徨し、そして彷徨することで自分の要らぬ部分を削ぎ落とし、削りに削って見えてきた自分の本質を探し出す、そんな旅のように感じた。この作者が旅をしたのと自分は同い年、自分もこんな旅をそろそろすべきだろうか?
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