思想のドラマトゥルギー の商品レビュー
林達夫と久野収の思想家対談。林は平凡社『世界大百科事典』、久野は『思想の科学』や『週刊金曜日』の編集で知られる。2人とも寡作であったが、本書では古代ギリシアから西田佐知子に至るまで、文字通り自由闊達かつ厚みのあるやりとりが展開され、圧倒された。思想の表現方法は文章に書くだけではな...
林達夫と久野収の思想家対談。林は平凡社『世界大百科事典』、久野は『思想の科学』や『週刊金曜日』の編集で知られる。2人とも寡作であったが、本書では古代ギリシアから西田佐知子に至るまで、文字通り自由闊達かつ厚みのあるやりとりが展開され、圧倒された。思想の表現方法は文章に書くだけではないことを教えてくれる。
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外交官の家庭で少年時代を欧米で過ごした林、京大哲学左派として戦前に治安維持法で投獄された久野。両者を単純に「左翼」で括れない。同じく終戦まで投獄されて子女もそれぞれ左翼活動の羽仁五郎(死に先んじたスターリン批判により日本共産党と決別の栄誉ももつ)のアジテーション講演が盛況となる左翼への期待(資本主義への不満)が60年安保に沸騰した余韻が残っていた時代。当時、林が大学の講義で「羽仁五郎について」と言うと学生は耳をそばだてた、「雀百まで踊り忘れず」「馬鹿の一つ覚え」「だがこれは褒め言葉なんだ」五郎は聞いて欣喜
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