ジャック・ニコルソン の商品レビュー

ジョンパーカー【著】,谷川建司【訳】

怪著。

[ホンダララッタ岩男]

彼の持っているいかがわしさが好きだ。
同時代で言えばポールニューマンの方が品格は上。が、悪く言えば彼は古き善きアメリカを引きずった人物である。比してニコルソンはどうか？彼の持っている怪しさ、インチキ臭さ。鑑賞後の後味の悪さ。歯切れが悪く、完成度自体を問題にすればいつも危うい。

然し、そんな危険で不安定な人間だけが発せるオーラとバカバカしさを笑い飛ばせる活力が彼にはある。ロック精神にどっぷり染められた人間にとってお上品な完成度など二の次なのである。

そんな彼の評伝の翻訳は日本ではそう多く無い。
内容自体を問題にすれば翻訳の問題もあるかもしれないが、著者の文才も視点も含め同意出来ない点は多々ある。然し、本著を読んでスクリーン上でその背景にある物が強いインパクトを持って伝わってくる彼の人格の複雑さへの理解が更に深まった。