老荘神仙の思想 の商品レビュー
簡潔な文体で締まった読み心地だ。 蟄居、隠棲、隠逸、隠遁閑居、陰徳。 世俗から距離を置き、表に出ないことに 興味がある。「山に咲く花」「海に降る雪」 も同じ意味合いだろう。 老荘と並び神仙を論じた書物は少ない。 山に籠もるとはどういう思想的礎があるのだろう。 代表的に頭に浮かぶの...
簡潔な文体で締まった読み心地だ。 蟄居、隠棲、隠逸、隠遁閑居、陰徳。 世俗から距離を置き、表に出ないことに 興味がある。「山に咲く花」「海に降る雪」 も同じ意味合いだろう。 老荘と並び神仙を論じた書物は少ない。 山に籠もるとはどういう思想的礎があるのだろう。 代表的に頭に浮かぶのは良寛。 ほかに鴨長明、吉田兼好。 ただこの二人は「山」ではない。 本書で興味深かったのは幸田露伴と森鴎外。 この二人のことは考えていなかった。 それと「寒山拾得」。鴎外と井伏鱒二の本を 読んでみようと思う。 P124 世の中をのがれるということと、 世俗から離れて生きるということは、 結果的なかたちは同じだが、 内容と動機はかなり異なる。 P124 老荘はどちらかといえば後者である。 しかし、老荘には、戦乱を避け、 政治のあくどい支配、愚劣さから のがれようという意志がある。 神仙志向は、むしろ、風を御し、 雲に乗って翔(か)けるといった ことへの強烈なあこがれや祈願がある。 とても人間世界のちまちまとしたことども にはかかわり合ってはいられない、という 意気さかんなものもあったのかもしれない。 P122 脱サラをする人々は ナイーブで真面目な人が多い P145 たのしみは 静かに物を書ける日を 訪ふ人なしに 暮らし得る時 (相馬御風) P152 総じて 世用に疎きために 能く終身の閑を得たり (良寛) P161 世の中に交らねとには あらねども ひとり遊びぞ 我はまされる (良寛) P162 焚くほどは 風がもて来る 落ち葉かな (良寛) P165 良寛には、もともとこの人生は一場の夢に すぎないといった莊子流の思想が根底にある。 P177 露伴は 老荘思想を人生観とした 人がそうであるがごとく、 人の先頭に立ったり、 我を張ることなく、 世間からはひっそり身をひそめて、 自らの生を飾ることもなく、 しかし充実させて咲く 深山の桜木のように生きた。 競うこともなく、 ハッタリもない生にこそ、 人生の意義があると 考えていた。 P187 (『三四郎』広田先生は) 茫洋とした風貌と名利打算から離れた生き方、 世俗のこせこせしたものの一切から超越した ような人物
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