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現代ローマ法体系(第1巻) の商品レビュー

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2014/09/12

サヴィニーのおそらく最も有名な著書の邦訳。第一巻は、法源論、解釈論、法律関係本質論を収める。法源論では、まず(第二章)法源の一般的性質が論じられたあと、現代ローマ法の法源が何かという問題が論じられる(第三章)。ここでとりわけ特異なのは、学問法という法源が、ローマ人の法制度との関連...

サヴィニーのおそらく最も有名な著書の邦訳。第一巻は、法源論、解釈論、法律関係本質論を収める。法源論では、まず(第二章)法源の一般的性質が論じられたあと、現代ローマ法の法源が何かという問題が論じられる(第三章)。ここでとりわけ特異なのは、学問法という法源が、ローマ人の法制度との関連で正当化されていることだろう。続いて第四章では、法律解釈論が提示される。とりわけ、ローマ法はユスティニアヌス帝による解釈の禁止を含むため、そもそも法を解釈することとはいかなることか、という問題からサヴィニーは出発していると思われる。その中で、文法的・論理的・歴史的・体系的解釈という4つの原則、拡張解釈と制限解釈、類推など、今日の解釈論でも取り扱われる問題が論じられる。第二編「法律関係」は、いわゆるパンデクテンシステムと言われる法の分類(物権、債権、親族法、相続法)が登場する。この分類を正当化するために、人、者、訴権という伝統的な分類への反論も行われている。この点については、必ずしもローマ法の文言を墨守するわけではなく、一定の合理的規準に基づいてローマ法を再構築しようとするサヴィニーの試みを見て取ることができるように思われる。なお、付録Iでは、万民法=自然法なのか、それとも万民法≠自然法なのかという問題が扱われ、サヴィニーは前者の立場を取っている。この点は、万民法という名称のもと今日の国際法に該当する法が扱われてきたという法学史を踏まえると、今日でも傾聴に値する見解だと思われる。また付録IIでは、慣習の効力がテーマとなっている。この問題も、今日の法解釈でもなお争われている問題である。以上の点を踏まえると、150年近く前に書かれた著作ながら、現代的な関心からも読み解くことのできる著作であるように思われる。

Posted byブクログ