成熟と喪失 の商品レビュー
江藤淳(本名:江頭淳夫)さんは、戦後の日本を代表する文学評論家であるが、自分にとっては(26年前頃)在学した大学で比較文化論の授業を受けた先生でもある。 文学家でありながら、なぜか東工大で教鞭を取り、ご本人からも理工系の学生たちの発想の豊かさが新鮮だと話されていたのを覚えて...
江藤淳(本名:江頭淳夫)さんは、戦後の日本を代表する文学評論家であるが、自分にとっては(26年前頃)在学した大学で比較文化論の授業を受けた先生でもある。 文学家でありながら、なぜか東工大で教鞭を取り、ご本人からも理工系の学生たちの発想の豊かさが新鮮だと話されていたのを覚えている。 授業の題材は、源氏物語の英訳2冊(サイデンステッカー版とウェイリー版)を比較しつつ、源氏物語の捉え方を比較するというもので、正解を探すものではなくそれぞれの意見を発表し合うもので、本当に楽しい授業だった。 スタンフォード大学で、テーマだけを与えてディスカッションする風景を先日テレビで見たが、まさにあのような景色だったかと思う。 個人の意見を尊重し、自由で、束縛しない、理解し合う、そんな授業は昔からあったのだと思う。 授業で一番目を輝かせていた江頭先生ノ姿が印象に残っている。
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第三の新人の小説を論じ、西洋(父性原理)に直面した日本(母性原理)が「成熟」(母子密着関係の「喪失」)を「急速に」強いられた結果、とり返しのつかない「母の崩壊」を招いた、と指摘する長篇評論
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自分が感じている不安を説明されたようだった。 日本とアメリカの「母性」の違いの考察も途中でなされていて、欧米のジェンダー学と日本のジェンダー学が食い違ってしまうことに通じる気がします。 上野千鶴子氏の解説つきで、文芸の知と社会学の知のうれしいコラボレーション。 またあ...
自分が感じている不安を説明されたようだった。 日本とアメリカの「母性」の違いの考察も途中でなされていて、欧米のジェンダー学と日本のジェンダー学が食い違ってしまうことに通じる気がします。 上野千鶴子氏の解説つきで、文芸の知と社会学の知のうれしいコラボレーション。 またあとでつづきかきます。
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言いたいことは理解る。母の崩壊、というより意識的な自壊、それは近代化が原因の不可避のこと。解決策として父の復権の持ち出すのは安直、それは滑稽に帰結。みたいな。実際面白いんだけど、いれこめなかった。それこそ「泣いた」と方々で発言するほどいれこんでいた上野千鶴子の解説だけで充分。
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