禅と言語ゲーム の商品レビュー
論理的には理解できないように思われる禅の公案や禅問答のもつ意味を、ウィトゲンシュタインの言語ゲーム論やシュッツの現象学的社会学の知見を応用することで明らかにしようとする試みです。 著者は、宗教的言語と日常言語の言語ゲームとしてのちがいについて議論をおこない、分別智から無分別智へ...
論理的には理解できないように思われる禅の公案や禅問答のもつ意味を、ウィトゲンシュタインの言語ゲーム論やシュッツの現象学的社会学の知見を応用することで明らかにしようとする試みです。 著者は、宗教的言語と日常言語の言語ゲームとしてのちがいについて議論をおこない、分別智から無分別智への移行によって禅のことばが異なるしかたでとらえられることになるという主張を展開しています。 ただ、本書の議論は、宗教的言説それ自体が生じる根拠(もしくは無根拠=無底)には踏み込まず、禅において見られる言説を言語ゲーム論の観点から見るとどのように解釈できるかということを示すにとどまっており、やや表層的な分析に終始しているように思えました。
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