阿佐ケ谷文士村 の商品レビュー
明治生まれで大正・昭和初期に活躍していた文藝作家の多くが阿佐ヶ谷・高円寺・中野等中央線沿線に居住していて文士仲間で飲み会や将棋や同人誌発行などの活動を粛々と行っていた。 大正12年9月1日に発生した関東大震災による大規模な火災で下町の多くが焼失し当時貸家が大半だった下町では大...
明治生まれで大正・昭和初期に活躍していた文藝作家の多くが阿佐ヶ谷・高円寺・中野等中央線沿線に居住していて文士仲間で飲み会や将棋や同人誌発行などの活動を粛々と行っていた。 大正12年9月1日に発生した関東大震災による大規模な火災で下町の多くが焼失し当時貸家が大半だった下町では大家が震災後は長屋の再建は行わず商店街や路地を規模の大きな道路にする等の近代化に取り組み、庶民は震災に強い台地への移住に向かった先が武蔵野台地(吉祥寺・阿佐ヶ谷辺り)や荏原台(世田谷・田園調布辺り)だった。 阿佐ヶ谷会といわれる昭和初期にこの辺りに居住していた作家の集まりでメンバーは、上林暁・井伏鱒二・安成二郎・尾崎一雄・小田嶽夫・太宰治・三好達治等、左翼派では小林多喜二・淀野隆二・上野壮夫・本庄陸男・小熊秀雄等、中野会では伊藤整・福田清人・百田宗治・春山行夫等で 凄い作家達が小さなエリアに住んで昼に夜に酒や将棋をやりながら文藝論を語り合ったと思うと羨ましいというか今では想像も出来ない時代だったのです。 本書はそんな昭和初期時代の中央線沿線に住まってた作家を中心に当時の文壇の様々な出来事を詳しく語ったもので意外な作家同士の繋がりに驚きと羨望を抱く事請け合いです。
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