組織に負けぬ人生 の商品レビュー

日下公人【著】

2012/07/22

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ここに勝利か敗北かの岐路がある。または、凡人か、偉い人かの分岐点がある。26

上層部の話し合いだけで解決しようとはせず、今村中尉にも当事者として解決に参加せよと言っているのである。そこが眼目である。27

単なる事件の被害者や被告ではなく、陸軍省の重要構成メンバーの一人として、こういう場合はどう行動するのが全体のために良いか、その決心を聞かれているのである。27

「勝利とは作戦目的を達することであって、必ずしも相手を屈服させることではない」という話にもつながる。29
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部下もまた上を見習って面倒から遠ざかるからである。

部下を官僚的に扱うと部下からも官僚的に扱われるというわけで、この関係は軍隊もビジネス社会も同じことだろう。78
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結局は日本陸軍という体制がトクすをするように行動している。96

水戸黄門では悪役は退治して刑に服させ、社会から除いてしまうから簡単だが、実社会ではそんな解決はめったにあるものでない。今村均は敵役や退治すべき人間は一人も作らぬように解決している。97
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当時は、社会改革に熱心な人がいたるところから出現した。悲惨な現実が身近にあるからである。左翼のマルキストも右翼の天皇主義者もシンボルに戴くものが違うだけで、その動機や目指すものにはあまり差がなかったように思える。159
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精神主義に行き過ぎ易いわが民族ではそれが権力と結びつくと、とかく陰惨な話になるのである。194

成功の自信もない奪回の突撃に自滅するなどは破滅をもって動機の純粋さの証明にしようという単なる美学であって、より高次の結果主義にはむしろ無責任である、と指摘する。今村均の考えは徹底的に高次の結果主義で、両刀使いでないから部下は仕事がやり易い。200
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2012/02/28

人間力について。

○勝利とは作戦目的を達することであって、必ずしも相手を屈服させることではない（29頁）
・仕事の筋を心得て、上司の顔を立て、自分も誤らず、しかも相手の顔を立て、さらに貸しまでつくる。

○才能・知識も大事だが、それは平常心の上に乗ったものでないと対局を誤るもとになる（62頁）
・平常心の回復手段の訓練
　東洋：座禅、書、和歌、茶の湯、舞など
　西洋：教会での瞑想、器楽、散歩、ギリシャ哲学の読書、詩の暗誦など

・部下の名、背景、日頃から気にする、組織としての目的、優先すべきことを踏まえた対応