化粧 の商品レビュー
著者を投影したいつもの私小説的短編と、著者を象徴する大男を中心とした、神話を思わせる時代不明の短編が混じり合った面白い構成の連作作品。 個人的に好みの1冊。
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化粧 (1978年) (和書)2009年12月27日 15:41 講談社 中上 健次 図書館でこの本を借りる。なんだか古くて汚らしい本だったけど、読んでみると新鮮に感動する。活字は古くもならず汚れもしないで残るのだろう。他の中上作品も読んでみたい。中上健次全集が欲しくなった。
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初出は、芥川賞受賞を挟んだ昭和49〜52年の「文藝」、「風景」ほかの12の連作短編。昭和53年単行本化。 全集版で読んだ。 熊野を舞台とする物語は、東京で妻と娘2人と暮らす男が、酒乱で妻に愛想を尽かされ、熊野の実家に来て親族らと交流し自死した兄を思う私小説風の物語に、様々な過去...
初出は、芥川賞受賞を挟んだ昭和49〜52年の「文藝」、「風景」ほかの12の連作短編。昭和53年単行本化。 全集版で読んだ。 熊野を舞台とする物語は、東京で妻と娘2人と暮らす男が、酒乱で妻に愛想を尽かされ、熊野の実家に来て親族らと交流し自死した兄を思う私小説風の物語に、様々な過去の物語が交錯する。 盲目の弱法師の前でその連れの女とまぐわう「欣求」、伐採した木を山から滑り下ろす木馬引きの男が遊郭の女に溺れる「浮島」、峠で商人を殺した僧がその妻を抱く「穢土」、行き倒れた男が和泉式部と自称する女に世話をされ抱かれる「伏拝」、戦に敗れ姫を守って山中に逃れた男が姫に情欲する「紅の滝」。いずれも極限に近い生と死とエロスが濃厚に描かれる。 人間の原存在を見つめようとする、気鋭の作家が新しい文学の境地を切り開こうと格闘しているように思える作品。
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この猛烈な残暑の真っただなか、この濃い小説を読むのはかなりへビー、消耗・・・。ひとつひとつの話は短いのになかなか読み進めることができず思いのほか時間がかかった読書でした。あぁヘビヘビ。
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冒頭から視覚的にも聴覚的にも引き込まれ、神聖な熊野の山林の世界にうっとりさせられるが、度々出てくる男女の交接やそれに似たものが酷く鬱陶しかった。<聖>と<俗>が錯綜しているのが本書の魅力なのは分かるものの、補色を並べてみていると目がちかちかするように、対照的な事象が余り露骨に並立...
冒頭から視覚的にも聴覚的にも引き込まれ、神聖な熊野の山林の世界にうっとりさせられるが、度々出てくる男女の交接やそれに似たものが酷く鬱陶しかった。<聖>と<俗>が錯綜しているのが本書の魅力なのは分かるものの、補色を並べてみていると目がちかちかするように、対照的な事象が余り露骨に並立していると、疲れる。
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別に隠れてはいないのかも知れないけれど 個人的には隠れた名作だと思っている。 2002年7月1日読了
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