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村の名前 の商品レビュー

2.9

10件のお客様レビュー

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桃源県桃花源村を舞台…

桃源県桃花源村を舞台にした幻想的な小説!!

文庫OFF

2023/12/04

2つの中編収録。 表題は日本の商人が中国奥地で村に呑まれる、少し異質な芥川受賞作。 比喩表現の少ない写実的で若干ユーモアの入った文体が独特だが、個人的に話の雰囲気と意図が複合された物語構造はかなり好み。吉行淳之介の選評が非常に参考になる。 『犬かける』は作者のデビュー作らしく、...

2つの中編収録。 表題は日本の商人が中国奥地で村に呑まれる、少し異質な芥川受賞作。 比喩表現の少ない写実的で若干ユーモアの入った文体が独特だが、個人的に話の雰囲気と意図が複合された物語構造はかなり好み。吉行淳之介の選評が非常に参考になる。 『犬かける』は作者のデビュー作らしく、感覚的すぎて上手く掴めない。

Posted byブクログ

2023/10/13

異国の地でどんどん調子が狂い、判断力も失われ、新境地に達したかと思えば、最後は現実に引き戻されて終わる。夢か現実か間なのか。不思議な感覚になる作品。

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2021/04/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

舞台は桃源郷の名を持つ中国の山奥の村。主人公は商談のためにそこを訪れる。 異国の景色や風習をその場で見ているような臨場感があり、ちょうどいい速度ですんなりと世界に入り込めた。 現地の人々にミステリアスに絡めとられていく主人公を見ていると心許ない気持ちになる。この人は現実に戻れるだろうか。本当に浦島太郎のようになってしまいそうだ。 捕まえたと思ったそばから逃げられる朧げな夢を見ているような物語だった。

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2017/01/03

1990年の芥川賞受賞作「村の名前」を読了。「村の名前」と「犬かけて」の二作が収められている短編集になっていて著者辻原登氏の出世作だ。  二作品とも読んでわかりやすい物語かというと残念ながら両方とも難解とはいえないがわかりにくい小説だ。理由としてはストーリーの中でファンタジー作...

1990年の芥川賞受賞作「村の名前」を読了。「村の名前」と「犬かけて」の二作が収められている短編集になっていて著者辻原登氏の出世作だ。  二作品とも読んでわかりやすい物語かというと残念ながら両方とも難解とはいえないがわかりにくい小説だ。理由としてはストーリーの中でファンタジー作品ではないのに現実と妄想・夢想の非現実が同レベルで語られる文章のスタイルになっているので、ゆっくり読んだとしても著者の意図が簡単には伝わっては来ない形になっている。 「村の名前」は藺草を求めて中国奥地にまでメーカーの方と買い付けに行く商社マンが出会う非日常のお話で、「犬かけて」は自分の妻の過去にこだわりを持ってしまっているミシンのセールスマンの話であるが、ストーリー展開で読者をたのしませる形ではなく著者の文学的作文チャレンジが優先されているからだ。  1990年代の芥川賞作品は1990年後期に授賞した小川洋子氏の『妊娠カレンダー』以外辺見庸氏の『自動起床装置』や多和田葉子氏の『犬婿入り』や1993年授賞の大学の先輩奥泉光氏の『石の来歴』など基本的に純文学でありエンターテインメント性より文学としてのチャレンジが評価されていた時期であった。なぜなら多分だが大江健三郎とか丸谷才一、水上勉などのご歴々が選考委員の中心にいたためと思われる。  そんなちょっと小難しく、知性を試されているような純文学作品を読むBMGに選んだのがHerbie Hancockの"FutureShock"。もう古くさいけど微笑ましいエレクトリックサウンドだ。

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2016/10/30

中編2本が含まれる純文学系小説。 1本目の表題作は、オビに「芥川賞受賞」と書かれているやつだよね。中国にい草の買い付けに行った青年が連れて行かれた桃源郷で、中国共産党と既に崩壊した村から脱出したがる家族と出会う。 こちらは、ゆるい開高健と言った感じで、1ページくらいに渡って記...

中編2本が含まれる純文学系小説。 1本目の表題作は、オビに「芥川賞受賞」と書かれているやつだよね。中国にい草の買い付けに行った青年が連れて行かれた桃源郷で、中国共産党と既に崩壊した村から脱出したがる家族と出会う。 こちらは、ゆるい開高健と言った感じで、1ページくらいに渡って記載される、一切拾われない伏線(になってない)が気になる程度で、ストーリーの中にある葛藤などもわかりやすい。賞をとるほどの作品とは思えなかったが。 問題はもう一本「犬かける」なんだよな。10年以上前に失踪した弟を探すという名目で東京に出た男と、既に痴呆がはいった母親と板挟みになる嫁。 大きなストーリーは、途中で反故にされるわけではないし、たまにちゃんと拾われる伏線もあるのだが、普通の人が読んだら支離滅裂にしか取れない。どうせ見つからない弟を探すという辺りは、安部公房を意識しているんだろうけど、だったらその意味合いを掘り下げるなりなんなりすればいい。 文と文の途中に、全く関係のない描写を挟み込んだりして、勘違いした人が「幻想的」という感想を書きそうだが、個人的には評価する気は無い。 一つだけ面白いのは、この手の純文学に珍しく、ほとんど比喩表現らしいものはないこと。そこは読みやすいので評価できる。しかし逆に、その分グイグイとストーリーを展開しないと進まないのに、両作品とも一進一退を繰り返す程度というのが気になった。

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2014/04/12

いったい何を読んだのか。そもそも何かを読んだのか。『村の名前』でさえ妙な世界に引きずり込まれて溺れそうだったのに、『犬かけて』にいたっては一光だに目にできなかった。村の名前は桃花源村。藺草を求めて中国に渡り、西瓜売りに出会い、犬肉を食らって給士の女と交ぐわう。ここに何も残らず、何...

いったい何を読んだのか。そもそも何かを読んだのか。『村の名前』でさえ妙な世界に引きずり込まれて溺れそうだったのに、『犬かけて』にいたっては一光だに目にできなかった。村の名前は桃花源村。藺草を求めて中国に渡り、西瓜売りに出会い、犬肉を食らって給士の女と交ぐわう。ここに何も残らず、何も浮かばず。

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2013/09/27

1990年上半期芥川賞受賞作。同時期には、その後同賞を受賞した奥泉光、小川洋子、荻野アンナが名を連ねていた。そうした中での受賞なのだが、この作家と編集者には本を売る気があるのだろうかと思う。『村の名前』―こんなタイトルに誰が魅かれるだろう。内容を読めば、それが世にも名高い村であっ...

1990年上半期芥川賞受賞作。同時期には、その後同賞を受賞した奥泉光、小川洋子、荻野アンナが名を連ねていた。そうした中での受賞なのだが、この作家と編集者には本を売る気があるのだろうかと思う。『村の名前』―こんなタイトルに誰が魅かれるだろう。内容を読めば、それが世にも名高い村であったことがわかるのだが。作品には現代中国の寒村にまで及ぶ権力構造と、村の様子が強いリアリティを持って描かれている。シュールと評する委員もいたが、この小説はあくまでもリアリズム小説の、これまでとは違った方向からのアプローチなのだ。 

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2012/12/28

言葉が通じない、風習がまるで異なる、日本の常識も通じない。そんな異国で自己を保つのは難しい。外国に行ったことがないから想像だけど。弟は本当に存在するのだろうか。錯乱した母親の妄想が息子に浸透し、居もしない弟との思い出を捏造したのではないか。記憶は常に改竄される。しかし結局は現実を...

言葉が通じない、風習がまるで異なる、日本の常識も通じない。そんな異国で自己を保つのは難しい。外国に行ったことがないから想像だけど。弟は本当に存在するのだろうか。錯乱した母親の妄想が息子に浸透し、居もしない弟との思い出を捏造したのではないか。記憶は常に改竄される。しかし結局は現実を直視できないから、有りもしないものを見ることで逃避しているのではないか。という考え方はきっと底が浅いのだろう。探している弟かいつの間に自分自身になっているような危うさは、誰だって持っていると思う。

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2009/10/04

 この物語は絶対に読んで欲しい。  これ初期の作品だもの、そりゃいまだにバリバリいけるわけだよ。  これが基礎なんですよ。  この小説読んで欲しいな。  何かを追うという、物語、小説、文学の基本がある。  憧れ、追憶、女性、桃源郷、キーワードをあげるだけでちょっと読みたくなりま...

 この物語は絶対に読んで欲しい。  これ初期の作品だもの、そりゃいまだにバリバリいけるわけだよ。  これが基礎なんですよ。  この小説読んで欲しいな。  何かを追うという、物語、小説、文学の基本がある。  憧れ、追憶、女性、桃源郷、キーワードをあげるだけでちょっと読みたくなりません?感じません?体の真ん中へんが・・・ん?右下腹がイタイ?それは盲腸だね。  この作家を読んで欲しいな。  いまでも現役で、第一線を走り続けている永遠の若手。  これが、僕らの先生なんですよ。  ぜひ、ここからはじめてください。  

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