四肢切断・中村久子先生の一生 の商品レビュー
3歳の時に罹った病気がもとで両腕両足を失った中村久子女史の言行録。障碍者に対する偏見や差別が当たり前の時代、見世物小屋に放り込まれることが当然とされていた時代に、凄まじい信念で「独立自尊」の人として生き抜いた記録。相次ぐ家族との死別や離散、関東大震災などの不幸が次々と久子を襲うが...
3歳の時に罹った病気がもとで両腕両足を失った中村久子女史の言行録。障碍者に対する偏見や差別が当たり前の時代、見世物小屋に放り込まれることが当然とされていた時代に、凄まじい信念で「独立自尊」の人として生き抜いた記録。相次ぐ家族との死別や離散、関東大震災などの不幸が次々と久子を襲うが、決して自棄にならずに生き抜き、世の障碍者の希望となった。両腕両足がない久子に対し敢えて厳しく裁縫や家事、身の回りのことを自分で整えることを覚えさせた久子の母の態度も凄まじい。「全ての幸福の条件を失っても、なお人の為に尽くすことののできる人間」「(障碍者に対する当時の)扶助料など、国の恩恵に甘えて生きるのは嫌だ」「泥の中に咲く蓮の花の誇りを持って生きよう」「障碍者を蝕むのは障碍そのものではなく、自らの精神によるものである。」
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