ジ・エンド・オブ・ザ・ゲーム の商品レビュー

ピーター・H.ビアード【著】,伊藤俊治,小野功生【訳】

2010/10/24

「ニューヨークとケニヤを往復し、放浪と冒険、ゴシップと恋愛のエピソードでサファリと社交界のプリンスとなった伝説的写真家」──というのは、ジョン・バウワマスターの書いた伝記のオビ。こんな派手なアオリ文句からは想像もつかないほど、この本はヘヴィだ。
圧倒的な量（敷き詰められたシマウマの皮、山積みの象牙、バッファローの群れ、無数の人々）、その量がしろしめす豊潤と、その落日のような終わりに顕れた、膨大な、膨大な量の白い骨。保護によって増え、飢え、死んでいく断末の象が大地に描く円。
白人という文明が手を触れた、というより手を突っ込んでかきまわした、未開がどうなっていくのか。文明が文明のやりかたで、讃え、嘆く、不可逆、不可避。