八月の恐竜 の商品レビュー

三田村信行【作】,黒岩章人【絵】

2010/09/25

近所の図書館に足を運び、三田村信行を借りてみた。この作品は某所で「ラストが切ない」「相変わらず救いがない」と言われていたので、「おとうさんがいっぱい」の嫌な読後感を期待して本を開いた。
読んでみて、ラストの部分が「らしい」なと思った。終盤の直人の選択は、しばしば物語に出てくる「英雄的な少年」のものではない。そう言った理想を託された主人公ならば、あんなラストにはならないだろう。その点に一種の歯がゆさがあるが、しかし自分が同じ立場に置かれたら、多分直人と同じ選択をしてしまう。そしてきっと同じ結末を迎えてしまうんだろう。
またしばらくは図書館で三田村信行を探そうと思う。