ユスティノス の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
キリスト教教父著作集第一巻、ユスティノス。ギリシア哲学者たちをキリスト者として名指しするちょっとセンセーショナルな面が書かれがちだけど、実際に著作を読むと単に護教的な言い分でもなく、哲学をキリスト教に取り込もうというのでもなく、哲学もキリスト教も本来求めるものは同じなのだ(ただ真実にたどり着く方法はキリスト教信仰だけ)と本気で考えていたことが分かる。プラトン哲学はモーセの借用、という論を当たり前のように採用しているのも、本人は哲学を貶める意図は全くないようなのだ。その全てが連続している見渡しの良い世界観が面白かったし、ユスティノスの教養を十分に感じることができた。自由意志の問題など、現代でも続いている議論がこの時点で結構高度なやり取りになっているのもすごい。 このシリーズ揃えたいけど、絶版なのか刊行されていないのか謎な巻がいっぱいあってよくわからないし手に入りづらいし当たり前だけど高いのがつらい。頑張らなくては。
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