怪物がめざめる夜 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
教祖じみた祭り上げ方をされるようになる、背景不明のハングリーな芸人。 彼自身ではなく、『共有イメージ』として芸人を消費し同化し攻撃性をあらわにしてゆく”大衆”。 そして、「社交性や愛想の良さを持たない代わりに、1.5の視力を得た」ような鑑定眼をもつ放送作家── 文学のくせに読みやすいぞ!ってのが一番の推しポイント。
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放送メディアに関係する主人公含む人物たちが、ゴーストライターとして一人の匿名の人物を立ててした企画が見事にあたって世評を呼ぶ(たいしたアイデアでもないように思うが・・)。その当事者探しが騒がれ、窮したかれらがその代わり仕立てた(操作しようと目論んだ)人物のその邪悪に翻弄されると...
放送メディアに関係する主人公含む人物たちが、ゴーストライターとして一人の匿名の人物を立ててした企画が見事にあたって世評を呼ぶ(たいしたアイデアでもないように思うが・・)。その当事者探しが騒がれ、窮したかれらがその代わり仕立てた(操作しようと目論んだ)人物のその邪悪に翻弄されるという噺。社会のあらゆる局面で起こる人間関係=力関係の逆転は別にめずらしくもないけれど、その人物を怪物と化した思わせるのはラジオ放送(メディア)を通して相対して聴くリスナーの心理を掌握(操作)を可能とする危険=恐さにある。 怪物とその生みの親との関係は『フランケンシュタイン』のそれとも相似する。映画『イヴの総て』『トーク・レディオ』なども連想された。 作中語り手がこぼす人物評・・人間観というかその才能のかたち(在り方)を洞察する部分は鋭さ(説得力)を感じさせた。怪物と化した神保へののめりこみ・・愛憎半ばする思い・・その才能に惹かれ断ち切れないでいる心境はうまく終幕の場面にあらわされている・・苦い目に遭ったもののためらいつつもまた違った才能に惹かれる(発掘する)という業界人の性(?)。
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