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天空の舟(上) の商品レビュー

4.2

22件のお客様レビュー

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小柄な大人物、摯。

宮城谷氏作品を読む度思う。宮城谷氏が緻密な中国歴史小説を書けるのは、その時代に心と眼を飛ばす、精神的タイムスリップ法を体得して居られるからではないかと。実際眼にしなければ描けない様な事が書かれているからだ。 この「天空の舟」上巻でも常人には知り得ない古代中国の様子が描かれ、祭祀...

宮城谷氏作品を読む度思う。宮城谷氏が緻密な中国歴史小説を書けるのは、その時代に心と眼を飛ばす、精神的タイムスリップ法を体得して居られるからではないかと。実際眼にしなければ描けない様な事が書かれているからだ。 この「天空の舟」上巻でも常人には知り得ない古代中国の様子が描かれ、祭祀を重要視した古代人の有り様を知らしめ、暴君桀による夏王朝の衰退を描いて行く。上巻で摯の賢才を見損なった湯后と摯のやり取りが下巻では面白くなりそうだ。

文庫OFF

『太公望』に、「伊尹…

『太公望』に、「伊尹のごとき人よ、鳴條の戦いは、いつあるのか」という太公望への問いかけがあり、「伊尹」に興味を持ちました。伊尹は、中国では、中学校の教科書にも載っているほど有名ですが、日本ではあまり知られていない人物です。彼は、商王朝の始祖湯王を支えた名宰相ですが、上巻ではまだ夏...

『太公望』に、「伊尹のごとき人よ、鳴條の戦いは、いつあるのか」という太公望への問いかけがあり、「伊尹」に興味を持ちました。伊尹は、中国では、中学校の教科書にも載っているほど有名ですが、日本ではあまり知られていない人物です。彼は、商王朝の始祖湯王を支えた名宰相ですが、上巻ではまだ夏に仕えており、湯のことは嫌いです。というより、湯王であろうと夏王であろうと、生まれつきの身分により人が人の上に立つことに疑問を抱き、本当に偉いものが王になるべきだいう革命思想を持っています。伊尹が動くのは、心底にある慈悲が揺さぶら

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あまりなじみのない中…

あまりなじみのない中国古代の物語が生き生きと描写されている、伊尹の人間がよく描かれている。お勧め

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周王朝の建国を助けた…

周王朝の建国を助けた伊尹の物語です。殷はいかにして滅びたか。

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商王朝への改革を成功…

商王朝への改革を成功に導いた名宰相伊いんの生涯とは?

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漢字の持つ意味は奥深…

漢字の持つ意味は奥深い。最初は読みづらいが、深みにはまる

文庫OFF

2020/11/14

<上下巻を通してのレビュー> 商の湯王を補け、夏王朝から商王朝への革命をみちびいた稀代の名宰相伊尹の生涯と、古代中国の歴史の流れを生き生きと描いた長編小説。 桑の木のおかげで水死をまぬがれた《奇跡の孤児》伊尹は、有莘氏の料理人となり、不思議な能力を発揮、夏王桀の挙兵で危殆に瀬し...

<上下巻を通してのレビュー> 商の湯王を補け、夏王朝から商王朝への革命をみちびいた稀代の名宰相伊尹の生涯と、古代中国の歴史の流れを生き生きと描いた長編小説。 桑の木のおかげで水死をまぬがれた《奇跡の孤児》伊尹は、有莘氏の料理人となり、不思議な能力を発揮、夏王桀の挙兵で危殆に瀬した有莘氏を救うため、乾坤一擲の奇策を講じる。 舞台は夏王朝末期。 桑の木のおかげで生き延びた摯(後の伊尹)を中心とした話です。 生まれながらに不思議な運命を背負って生きてきた摯がいるところ、必ず福が訪れるという・・・・・その背景には摯の能力を認め、身分を超えて優しく接し教授してくれる人々がいて、そして、自分に驕らない摯の姿があります。 料理人から始まった運命が、夏王発の目に止まってさらに開花され、発の死後に夏王桀からの攻撃から有莘氏を救ったり、夏王桀を補佐したりしますが、摯の生き様の根底にあるものは、名もなき民を救うという一念でした。 夏王朝を支える立場から商王朝を支える立場になり、商王から伊尹のポストを授けられても決して驕ることはない。 夏王朝から商王朝へと変わる激動の時代に、神が使わした者なのかもしれませんね。

Posted byブクログ

2020/05/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

夏王朝末期、桀王は衰退していく夏王朝に拍車をかけるように、酒池肉林を催し、自分は天子であるとして、諸侯を力で屈服させてきた。東からは、商の湯王が立ち、徐々にちからを蓄え、夏王朝の自滅のような感じになる事を待つかのごとく徳をつんでいく。伊尹と言われることになる、摯は、桀王や湯王に従うというのではなく、民草の声を率直に伝えて、死をも恐れず、直諫し、商の執政へと活躍の場を与えられていく。 長く生きていると、恨みばかりがつもるものだ。その恨みをどう残し、どう捨てるかで生き方が違ってくる。まず己を治めること、それをしないで他人を恨むと、その者は一生の間悲憤が付き纏う。その悲憤が極限に達して自分がどうにもならなくなったら、いっそ自分を捨てることだ。 全二巻

Posted byブクログ

2020/01/07

八王子を桑都(そうと)という。江戸期から養蚕業・絹織物業が盛んであったためだ。更に古くは「浅川を渡れば富士の影清く桑の都に青嵐吹く」と西行が詠んだ。桑が神木とはにわかに信じ難かった。それは私が低い桑しか知らないためだった。 https://sessendo.blogspot.co...

八王子を桑都(そうと)という。江戸期から養蚕業・絹織物業が盛んであったためだ。更に古くは「浅川を渡れば富士の影清く桑の都に青嵐吹く」と西行が詠んだ。桑が神木とはにわかに信じ難かった。それは私が低い桑しか知らないためだった。 https://sessendo.blogspot.com/2020/01/blog-post_12.html

Posted byブクログ

2018/02/27
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※このレビューにはネタバレを含みます

古代中国、夏王朝を倒した、商(殷)の湯王に仕えた名宰相・伊尹(いいん)を主人公に据えた歴史長編。 3500年以上も過去の人物について、史書の記述を結び合わせ、伝説の域にある事象をも、ひとりの人間を形作るエピソードとして語る筆力は説得力があり、圧倒される。 上巻では未だ天命を見出していない伊尹が、どのような道を辿って不朽の名を残すに至るか、下巻の展開を追うのが待ち遠しい。

Posted byブクログ