百貨店の誕生 の商品レビュー
いかに日本の百貨店がパリのデパートをそのまま持ってきたものかがわかる本。 座売り方式から陳列販売方式への転換、ショーウィンドウの設置、広告活動などなど。 服屋が単なる買い物の場から観覧場へと変化する。商品を見て楽しむという現代の買い物が誕生するきっかけとなった百貨店の誕生。 ...
いかに日本の百貨店がパリのデパートをそのまま持ってきたものかがわかる本。 座売り方式から陳列販売方式への転換、ショーウィンドウの設置、広告活動などなど。 服屋が単なる買い物の場から観覧場へと変化する。商品を見て楽しむという現代の買い物が誕生するきっかけとなった百貨店の誕生。 この本とあわせて、鹿島茂『デパートを発明した夫婦』を読むことを薦めたい。
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明治後半から昭和初期にかけて、日本国内の百貨店が発展してきた歴史をさっと振り返ることができる本。『思想地図β』のショッピング特集を読んだ流れで。 あくまで日本国内の百貨店に限っており、海外の百貨店に関する歴史は、国内百貨店の視察対象として描かれている。また百貨店の隆盛とともに姿...
明治後半から昭和初期にかけて、日本国内の百貨店が発展してきた歴史をさっと振り返ることができる本。『思想地図β』のショッピング特集を読んだ流れで。 あくまで日本国内の百貨店に限っており、海外の百貨店に関する歴史は、国内百貨店の視察対象として描かれている。また百貨店の隆盛とともに姿を消した「観工場」という場も、それまでの座売り形式から陳列形式へと変わったターニングポイントとして、記録されている。 座売り形式の呉服屋から、陳列形式の百貨店へ。戦争を跨いで一つの時代を築くにいたったその背景はいくつか存在する。 1.交通インフラの発展 ・鉄道が発展し、近代的な生活スタイルを好む「山の手」の住民が増加。彼らをメインターゲットとし、新しい顧客を開拓することができた。 ・地下鉄と直結させることで、安定した来客を見込むことができた。 2.建築としての魅力 ・ルネッサンス様式やゴシック様式の西洋風建築様式を取り入れ、エレベータや屋上庭園を造り、冷房を早くから取り入れた。普段の生活空間とは全く異なる空間を作り出すことで、百貨店という場そのものを楽しむという行為を生み出した。 3.文化の創出 ・観工場の場合、人を呼ぶためには派手な安売り文句やチンドン屋といった、とにかく周囲の不特定多数を捕まえようという即物的な集客方法だった。一方、呉服屋からスタートした百貨店は、PR誌の出版や政治家・文化人等との交流の場を持ち、百貨店を中心とした一種の文化を作り出した。その文化の中に、流行のスタイルを混ぜ外部に発信することで、高級品を安定して消費させることに成功した。 これらはフランスやアメリカといった諸外国から学んだ点が多いが、子供をターゲットにして家族ぐるみで顧客として囲い込むなど、日本独自の工夫が加えられている点もある。総じて、マーケティングの上手さに学ぶところが多い一冊だった。
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