移り住む魂たち の商品レビュー
今福龍太 「移り住む魂たち」 文化人類学のフィールドワークの本。少し感傷的な表現もあるが、ボーダーやディアスポラという概念から ハイブリッドな新世界を導き出している。文章もうまくて面白い。旅や移動により アイデンティティをハイブリッド化させよという論調。 印象に残ったのは、...
今福龍太 「移り住む魂たち」 文化人類学のフィールドワークの本。少し感傷的な表現もあるが、ボーダーやディアスポラという概念から ハイブリッドな新世界を導き出している。文章もうまくて面白い。旅や移動により アイデンティティをハイブリッド化させよという論調。 印象に残ったのは、ナショナリズムの象徴としてのパールハーバーと ハイブリッドなディアスポラの美学。いつまでも民族や国家を基準にアイデンティティを考えるのは 古いパラダイムに思えてきた なるほどな表現例 *文化を「自分が自分であるための秘密の箱」に例え、その箱の中に「個、家族、国家、民族、言語が絡み合ったアイデンティティ」があるとしている *文化が変化し、ハイブリッド化する状況を 「旅人が集合し離散するホテルのロビーや空港のラウンジに似ている」としている *「私たちはみな一人の亡命者である」祖国を奪還する望みを絶たれたまま、祖国の記憶により 自分を自分として存在させている ディアスポラの美学 *ある国に住みながら、別な場所との絆を維持する関係 *国家や民族との連続性はない *所有や喪失、記憶や忘却、力や依存、排斥や連帯 といった 人間の基本的な生存のエレメントが流転する場 *現代文化は ディアスポラそのもの *人間存在の本質的な単独性〜人間の生存の自由の中で意識された孤独
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