慶応わっふる日記 の商品レビュー
幕末、将軍家の御殿医だった蘭方医の娘・今泉みねが口述で著した『名ごりの夢』を元にしており、村田さんの昔からの愛読書の一冊だったことが巻末に記されている。 小説は慶応三年の冬の訪れまでの数年間の少女の姿を描き、維新前夜の日増しに混迷の色を深めゆく時世にあって、聡明な少女が捉えた世情...
幕末、将軍家の御殿医だった蘭方医の娘・今泉みねが口述で著した『名ごりの夢』を元にしており、村田さんの昔からの愛読書の一冊だったことが巻末に記されている。 小説は慶応三年の冬の訪れまでの数年間の少女の姿を描き、維新前夜の日増しに混迷の色を深めゆく時世にあって、聡明な少女が捉えた世情や時代に対する感慨と、瑞々しい感性の眼差しに映る日々の喜び愉しみとが語られていく。 終盤は邸に暮らしてきた人々が次々と去っていき、幸せだった時代に終わりを告げるかのようで、それでも変わりゆく時代を臆せず見つめていこうとする主人公の凛とした姿が印象に残る。
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