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古代アンデスの謎 の商品レビュー

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2020/11/27

筆者は脳神経外科の片山医師。それもただの医師ではない。日本どころか、世界トップクラスの医師である。その片山医師が40代の、脂の乗り切った時期に書いたのが本書。古代アンデスでしばしば見られる穴の開けられた頭蓋骨の謎に迫っている。 片山医師はこれら頭蓋穿孔は医学的治療であると判断する...

筆者は脳神経外科の片山医師。それもただの医師ではない。日本どころか、世界トップクラスの医師である。その片山医師が40代の、脂の乗り切った時期に書いたのが本書。古代アンデスでしばしば見られる穴の開けられた頭蓋骨の謎に迫っている。 片山医師はこれら頭蓋穿孔は医学的治療であると判断する。古代史を扱っているが、片山医師はあくまで脳外科医として、この問題に取り組んでいく。私が学んできた考古学とは目の付け所や考え方が異なり、これがとても面白かった。 正直、何らかの治療効果、目的があったから開頭術が行われていたとする見解には疑問があった。古代の医師が現代の医師と同じメンタリティであったかわからない。古代の医学書には現代医学から見れば噴飯ものの治療法も散見される。現代ですら、血液洗浄だの疑似科学は蔓延っているではないか。 でも読み進めていくと、片山医師が、日々患者に医療を提供する立場からの確信と、古代の医師への共感で本書を記したことが伝わってきた。次第に本書は片山医師の医学論のようになり、自身のエピソードを語る後半部分は圧巻である。 正に一芸は全てに通ずを体現したような本だった。

Posted byブクログ