日本の近世(9) の商品レビュー
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1992年刊。中央公論社近世史シリーズの9巻。テーマはやや地味な都市論。市井の人々の息遣いを感じる論考もあるが(「表店と裏店」など)、前史・後史とのダイナミズムな連関を感じさせるのは少ない。ただ、戦国・織豊期にて牙を抜かれたように思える大阪の一向宗はしぶとく生き抜いていたこと、それを支える民衆の存在があったことは興味深い。しかも、戦国期の寺内町が武力闘争に備えたものというのも大名対宗教の視点で見れば興味ある論考(「近世都市と寺院」)。なお、近世都市における「打ちこわし」が独立したテーマでなかったのは意外。
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