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近世史への招待 の商品レビュー

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2016/12/15
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1992年刊行。講座日本近世史全10巻の最終。    シリーズの最終は、近世史研究に必要なハード・ソフトウェアの解説に費やされる。  ハード面で言えば、①史料(国内、特に村方文書。海外、特にオランダ系)の解読方法、保存。②博物館の在り方。ソフト面で言えば、①中高の社会科教育。②自治体史編纂。③民間伝承の史学研究への影響(善悪問わず)。④新奇な視座。  本巻で挙がる新奇な視座には、 ① 幕藩制を強権的な支配構図ではなく、地域や民衆社会が生んだ新奇性を権力側が適宜取り込んで、政権や支配構図の延命を図ってきたという観点。 ② 鎖国を「海禁」と捉え、東アジア諸国との差だけでなく、共通項に目を向ける在り方。 ③ 農民の相続の実際から、幕藩制と異質な「土地の家産」概念の創出 などがそれ。  さらに「時代の精神を代表する言葉の分析」、すなわち「言葉の内在的な理解を通す分析」、具体的事例で言えば「『浮世』や『義理』などを社会的意識形態として扱い…、それの身分階層による用いられ方の違いを深く突き詰めることで…時代精神の在り方を捕まえる研究手法」の有意義性等、新奇な発想への転換も示唆される書である。 ◆著者は、 深谷克己(早稲田大学文学部教授)、 青木美智男(日本福祉大学経済学部教授)、 加藤榮一(東京大学史料編纂所教授)、 大野瑞男(東洋大学文学部教授)、 松本四郎(都留文科大学教授)、 佐藤誠朗(新潟大学人文学部教授)、 土井浩(平塚博物館学芸員)、 山田忠雄(東海大学文明研究所教授)、 川鍋定男(都留市嘱託)。

Posted byブクログ