徳川家康 の商品レビュー
大河ドラマを見るにあたって家康本を読もうと探したが自宅の本棚に30年ほど前に読んだ本書があったので新鮮な気持ちで再読。よかった。 「狸おやじ」「狡猾で謀略」という徳川家康のイメージは司馬遼太郎の「関ケ原」「城塞」で創られたもので、実はあくまで冷静に正々堂々と天下を獲り、国家の安...
大河ドラマを見るにあたって家康本を読もうと探したが自宅の本棚に30年ほど前に読んだ本書があったので新鮮な気持ちで再読。よかった。 「狸おやじ」「狡猾で謀略」という徳川家康のイメージは司馬遼太郎の「関ケ原」「城塞」で創られたもので、実はあくまで冷静に正々堂々と天下を獲り、国家の安定を確保するために法を定め、貿易を開いたり、貨幣経済を確立したりという見事な政治家であったと、著者はべた褒め。一方で石田三成の評価の酷いこと。 「関ケ原」「城塞」で石田三成、大谷刑部、島左近・・・に魅了されたものとしては一定の評価はするものの、やはり「狸おやじ」は好きになれないが、家康の生き方がよくわかる一冊。名著です。
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膨大な史料と文献を駆使し、単行本541頁を要する労作となった山本七平氏の遺作。 引用する文献は、漢文書き下しの候文であり、読み進み理解すのに苦労する。 しかし、丹念に史料を渉猟し、家康の全体像を明らかにした著者の書は、「狸おやじ」の異名をとる家康のイメージを覆すには十分だった。 ...
膨大な史料と文献を駆使し、単行本541頁を要する労作となった山本七平氏の遺作。 引用する文献は、漢文書き下しの候文であり、読み進み理解すのに苦労する。 しかし、丹念に史料を渉猟し、家康の全体像を明らかにした著者の書は、「狸おやじ」の異名をとる家康のイメージを覆すには十分だった。 著者は、家康の人質時代から説き起こす。 今でいう人質とは違い、行動も自由で、今川家ではむしろ厚遇されていたと。その当時読んだ様々な書物が、後の家康の行動の下地になったそうだ。 政策的能力と戦略的能力とを兼ね備えたのが政治家であり、それは稀有な存在であるが、家康はその両方を兼ね備えた卓越した存在であったと。 単なる「狸おやじ」に、267年も続く平和な体制を樹立できるわけがないとも。 戦国に終止符を打ち、法治体制の基本を確立し終わったところで、まるで自己の任務はこれで終わったと宣言するかのように、この世を去った。 著者は彼を「超人」と評している。 また、江戸時代の鎖国のイメージから、家康を鎖国主義者かのように思われるが、彼ほど積極的な開国主義者はいなかった。家康の側近にウイリアム・アダムスとヤン・ヨーステンという西欧外交補佐官がおり、歴代の統治者にこういう外国人を置いたのは、家康だけだろうと。 家康は幕藩体制を作ろうとして、秀頼がその一大名となるなら、大坂の陣にしても起こり得なかった戦いだったとも。 家康の理想像は、淀君・秀頼が関東に来て、安房と上総の領主になることだったそうだ。 しかし、淀君の非常識が豊臣家を孤立させ、大坂の陣になったと。
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昔買った本が書棚に眠っていた。読みかけだったことも忘れていた。文語をそのまま引用し、何の解説もしていないところが読みにくい。でも、徳川家康という人物を見抜く、著者の鑑識眼というのは鋭い。徳川家康という人物は、狸親父でもなく、腹黒いわけでもなく、冷徹でもなく、普通の人間としての温か...
昔買った本が書棚に眠っていた。読みかけだったことも忘れていた。文語をそのまま引用し、何の解説もしていないところが読みにくい。でも、徳川家康という人物を見抜く、著者の鑑識眼というのは鋭い。徳川家康という人物は、狸親父でもなく、腹黒いわけでもなく、冷徹でもなく、普通の人間としての温か味を持っている。ただ、庶民の人気はなかったことは確かだろう。
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狡猾な人物として描かれがちな「狸おやじ」徳川家康。 筆者は、家康の事績の一つ一つを検討し、家康は姑息な手段は一切取っていないことを明らかにする。 確かに、世界史上類を見ない250年にも及ぶ平和の基礎を築いた家康は世界レベルの政治家と言えるだろう。 でも僕は、家康は「狸おやじ」だと...
狡猾な人物として描かれがちな「狸おやじ」徳川家康。 筆者は、家康の事績の一つ一つを検討し、家康は姑息な手段は一切取っていないことを明らかにする。 確かに、世界史上類を見ない250年にも及ぶ平和の基礎を築いた家康は世界レベルの政治家と言えるだろう。 でも僕は、家康は「狸おやじ」だと思う。
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