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花闇 の商品レビュー

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幕末の女形・三世澤村…

幕末の女形・三世澤村田之助の生と死を下級役者の目から見た長編。田之助は脱疽にかかり、「達磨」になって発狂の挙句死んだと言われる実在の歌舞伎役者です。

文庫OFF

2009/10/29

北森 鴻の『狂乱廿四考』で知った歌舞伎役者・三代目澤村田之助。 やばい。 ハマってしまったみたい。 この江戸末期に咲いた、妖艶で壮絶な華のような役者をもっと知りたい一心で 手にした皆川作品。 元々好きだったこの人のひやりと冷めた、それでいてまとわりつくような エロティシズムを...

北森 鴻の『狂乱廿四考』で知った歌舞伎役者・三代目澤村田之助。 やばい。 ハマってしまったみたい。 この江戸末期に咲いた、妖艶で壮絶な華のような役者をもっと知りたい一心で 手にした皆川作品。 元々好きだったこの人のひやりと冷めた、それでいてまとわりつくような エロティシズムを醸し出す筆致が、 咲き誇り、人々の欲望をかきたて、やがて腐乱して果てた田之助と 彼を取り巻く“江戸歌舞伎”の終焉を見事に描き出している。 私は歌舞伎についてけして明るくはないけれど、 この本の解説者・今野裕一氏によれば 「今の“板の上”(現在の歌舞伎の現状)は余りに健康すぎる」 のだそうだ。 これには何だか至極納得してしまった。 男が女の身なり・仕草を真似、どこにもいるはずのない幻想の女を演じる 歌舞伎の世界。 それだけで私には既に倒錯の世界のように思われる。 ちなみにこれは私の中では褒め言葉です。念のため。 強烈な香りで人々を圧倒した華はまた、 強烈な腐臭を放って朽ちてゆく。 しかし腐れば腐るほど その身は純度の高いものと化してゆく。

Posted byブクログ