1,800円以上の注文で送料無料

美しき町・西班牙犬の家 他六篇 の商品レビュー

4.4

9件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

私のおススメは処女作…

私のおススメは処女作の「西班牙犬の家」。散歩の途中で見つけた不思議な家。そこから佐藤春夫の妄想が広がっていく。この詩のような文章を通して抒情的な雰囲気を味わってほしい。幻想味、探偵趣味を愛した佐藤春夫のおススメの一冊。

文庫OFF

隅田川の中洲に理想の…

隅田川の中洲に理想のまちを作ろうとするロマンチストの物語。小説の面白さを堪能できる一冊

文庫OFF

2024/05/19

 各短編の発表年は大正6(1917)年から昭和9(1934)年、そして飛び抜けて遅い巻末の「山妖海異」が昭和(1956)31年。  自分は『田園の憂鬱』の作者とくらいしか印象がないが、当時文壇で「まれに見る文才」などともてはやされた人らしい。本巻も確かに巧く書けているが、かといっ...

 各短編の発表年は大正6(1917)年から昭和9(1934)年、そして飛び抜けて遅い巻末の「山妖海異」が昭和(1956)31年。  自分は『田園の憂鬱』の作者とくらいしか印象がないが、当時文壇で「まれに見る文才」などともてはやされた人らしい。本巻も確かに巧く書けているが、かといって文学的興趣が胸を打つものはなく、いわゆる「器用貧乏」というやつではないかという気がする。  本書の中では唯一「F・O・U」は良い作品で、心に残った。

Posted byブクログ

2024/04/17

佐藤春夫。河出文庫から出ている『南方熊楠—近代神仙譚』をだいぶ前に読んだきりだったが、あるきっかけがあって、この文庫を手に取った。一番最後に収録されている『山妖海異』は著者自身と熊楠が生まれた土地である熊野の言い伝えをあれこれ書いた随筆で、これが一番『南方熊楠—近代神千譚』に近い...

佐藤春夫。河出文庫から出ている『南方熊楠—近代神仙譚』をだいぶ前に読んだきりだったが、あるきっかけがあって、この文庫を手に取った。一番最後に収録されている『山妖海異』は著者自身と熊楠が生まれた土地である熊野の言い伝えをあれこれ書いた随筆で、これが一番『南方熊楠—近代神千譚』に近い。『星』『李鴻章』『F・O・U』は異国が舞台の話。『西班牙犬の家』『美しき町』『陳述』『月下の再会』は国内が舞台の話だが、いずれもバタくさい。つまり洒落ている。ほら、こんなのも書けるよ、と次々手を変え品を変えいろんな料理を出されている感じ。でも嫌味な感じはなく、とても楽しく読んだ。『美しき町』は、概念を弄ぶことの楽しさと美しさの究極みたいな作品。『陳述』の、心理戦の繰り返しの中でどうにもならないまま破滅に突き進んでいく展開には思わず息をのんだ。

Posted byブクログ

2022/03/13

早熟の天才詩人•佐藤春夫の短編集である。 多彩な作風で、同著者とは思えないほどのバリュエーション豊かな作品になっている。 私のお気に入りは、若者2人と老人が理想の町を創り上げる『美しき町』と、明末清初の男女の三角関係を描いた『星』だ。 幻想的で、耽美な世界観に引き込まれ、その時代...

早熟の天才詩人•佐藤春夫の短編集である。 多彩な作風で、同著者とは思えないほどのバリュエーション豊かな作品になっている。 私のお気に入りは、若者2人と老人が理想の町を創り上げる『美しき町』と、明末清初の男女の三角関係を描いた『星』だ。 幻想的で、耽美な世界観に引き込まれ、その時代や場所にタイムスリップしたような心地に誘われる。

Posted byブクログ

2021/04/08

散歩の途中で見つけた不思議な家の幻想譚。佐藤春夫の処女作だが非常に詩的な話である。この文章を通して何らかの思想を伝えようとしたわけではない。抒情的な雰囲気と妄想的な感覚を伝えたかったのだろう。この話を読むと、萩原朔太郎の「ウォーソン夫人の黒猫」を思い出す。夢なのか現実なのか。狂気...

散歩の途中で見つけた不思議な家の幻想譚。佐藤春夫の処女作だが非常に詩的な話である。この文章を通して何らかの思想を伝えようとしたわけではない。抒情的な雰囲気と妄想的な感覚を伝えたかったのだろう。この話を読むと、萩原朔太郎の「ウォーソン夫人の黒猫」を思い出す。夢なのか現実なのか。狂気なのか真実なのか。好きな話である。探偵趣味の香りもして。

Posted byブクログ

2011/07/03

佐藤春夫が描く、「地に足のつかない心地よさ」の短編集。 これは私の2007年度のベスト。 たぶん、「いい」とか「すごい」とかいう本と「好き」っていう本は、全然別物なのだろう。 これは私にとっての、断然「好き」に属するほうの本。 上手いだとか幸せだとか壮大だとか、そんなことは全...

佐藤春夫が描く、「地に足のつかない心地よさ」の短編集。 これは私の2007年度のベスト。 たぶん、「いい」とか「すごい」とかいう本と「好き」っていう本は、全然別物なのだろう。 これは私にとっての、断然「好き」に属するほうの本。 上手いだとか幸せだとか壮大だとか、そんなことは全く関係がない。ただ、好きだから。 この本は、私の好み。私の趣味。それだけ。 特に大好きだったのは、「F・O・U」だろうか。 人好きのする、かわいくて愛らしい狂人、というコンセプトを見事に私好みのものに仕上げたのがこの作品だと思った。 「美しき町」も大好きだ。こういう、朗らかで、享楽的で、しかも美しい人たちの話って大好き(笑)。夢みたいな話なんだけど、その夢みたいな話を夢のまま壊さずに語ってくれるところが、ほんとに素敵。 この短編は、なんにも知らずにほんとに気まぐれで手に取った。こういう本に突然出会うから、やっぱり読書は面白い。 偶然に感謝。

Posted byブクログ

2010/12/29

高校生のとき模試で『美しき町』の一部を読んだ。 「美しい町」!「美しい町」!の部分しか覚えてなかったけど、全部読んでよかった。 きれいなお話だなあ。 他の短編も、楽しみながら読める。 一気に読んで、後でじっくり読み直せればいいな。

Posted byブクログ

2010/05/23

ある理由により大好きな佐藤春夫の短編小説集。 どの作品もすごく面白かったけど、一番好きなのは「美しき町」かな。ゼミの顧問の先生が「西班牙犬の家」の論文を同人誌に書いたことあるみたいで、いつか読んでみたい。 現時点での僕の卒論の候補作家の一人だし、論じるのはなかなか骨が折れそうだけ...

ある理由により大好きな佐藤春夫の短編小説集。 どの作品もすごく面白かったけど、一番好きなのは「美しき町」かな。ゼミの顧問の先生が「西班牙犬の家」の論文を同人誌に書いたことあるみたいで、いつか読んでみたい。 現時点での僕の卒論の候補作家の一人だし、論じるのはなかなか骨が折れそうだけどいつか挑戦しようと思う。

Posted byブクログ