越境のレッスン の商品レビュー
四方田犬彦がおこなった五つの対話を収録しています。 まずは、作家の島田雅彦との対談です。日本の外で「異邦人」としてすごした経験を踏まえながらおこなわれる対話を通じて、日本対アメリカ、日本対アジアといった対立関係を設定するのではなく、「コスモポリタンの一員としての日本人」というあ...
四方田犬彦がおこなった五つの対話を収録しています。 まずは、作家の島田雅彦との対談です。日本の外で「異邦人」としてすごした経験を踏まえながらおこなわれる対話を通じて、日本対アメリカ、日本対アジアといった対立関係を設定するのではなく、「コスモポリタンの一員としての日本人」というありかたをさがし求める両者のスタンスの共通性が明らかになっていきます。 第二章は、在日コリアンの李泰栄、金摩美との対話。第三章は、日本統治下の台湾文学について研究している垂水千恵との対談。第四章は香港の映画監督の舒琪、第五章は中国の映画を研究している刈間文俊との対談で、ともに映画が主題となっています。 アジアの映画についてはほとんどなにも知らないので、後半は読み飛ばしてしまいましたが、日本人としての自分を意識するとき、どのような歴史的背景を背負い込んでいるのかということを、すこし気をつけてみるきっかけになるような話が多く、おもしろく読むことができました。
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