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本阿弥行状記 の商品レビュー

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2021/01/24

「本阿弥行状記」中野孝次著、河出書房新社、1992.03.25 224p ¥1,700 C0093 (2021.01.16読了)(2021.01.10借入)(1993.03.20/6刷) 「清貧の思想」中野孝次著、を読んだときに「本阿弥行状記」が引用されていました。 図書館の蔵書...

「本阿弥行状記」中野孝次著、河出書房新社、1992.03.25 224p ¥1,700 C0093 (2021.01.16読了)(2021.01.10借入)(1993.03.20/6刷) 「清貧の思想」中野孝次著、を読んだときに「本阿弥行状記」が引用されていました。 図書館の蔵書検索で、「中野孝次」をキーにして検索してみたら表示されてきた本の中にこの本がありました。元々の「本阿弥行状記」を下敷きにした小説仕立ての本なのだろうと思います。 本阿弥光悦やその母・妙秀、その他の本阿弥一族のことが書かれています。 絵の好きな方は、琳派の始祖である俵屋宗達とコラボした作品の作者としての光悦をご存じかと思います。吉川英治の「宮本武蔵」を読んだ方は、刀の研ぎ師としての光悦を知ったことと思います。井上雄彦の「バガボンド」も同様。 ◇本阿弥光悦 [1558~1637]桃山時代から江戸初期の芸術家。京都の人。号、太虚庵・自得斎など。刀剣鑑定の名家である本阿弥家の分家に生まれる。書・陶芸・漆芸などにすぐれ、元和元年(1615)徳川家康より洛北の鷹ヶ峰の地を賜り、芸術村を営んだ。書は寛永の三筆の一人で、光悦流の始祖。陶芸・漆芸でも光悦楽焼・光悦蒔絵(まきえ)の創始者として一家をなした。(「デジタル大辞泉」より) 【目次】 巻一 鷹ヶ峰返上のこと 1~6 巻二 妙秀がこと 7~12 巻三 光悦がこと 13~18 巻四 刀の目利きのこと 19~21 巻五 紹益殿の訪れのこと 22~25 ●本阿弥家(31頁) 光二、光悦、光瑳、光甫、光伝 ●心の自由(93頁) 世間の人はとかく、金銭でも物でも多く所有すればするほど人はしあわせになれると考えているふうだが、それは間違いである。むしろ逆に所有するものが多ければ多いほど心はとらわれる。物を所有することが少なければ少ないほどかえって人の心は自由に、ゆたかになる。 ●此後出来ぬ(109頁) 惣じて刃物によらず何事でも、昔ばかり出来て此後出来ぬと申すのはいかにも不自由の論であって、決してさようなことのあるはずがありませぬ。今から千年のちでも、刃物を初め何事によらず不自由はなかろうと存じます。 ●あるべき姿(133頁) 光悦は書を始めればおのが美とする所のあるべき姿を、焼き物を始めれば茶碗のあるべき姿を、それこそは人並みすぐれた美感にてありありと思い浮かべることができたのであろう。 ●鶴下絵三十六歌仙和歌巻(197頁) 宗達殿が下絵を描かれ光悦が和歌を散らし書きした鶴下絵三十六歌仙和歌巻 宗達殿の描かれた鶴の姿千万態と光悦の書とが一つになって、なんともおおらかで、豪華で、はなやかなものよと酔う思いでござった。 具引きされた卵殻色の下地に金銀泥をたっぷり使って描かれたあの鶴の姿、砂洲におりたった鶴の群れがいっせいにはばたいて大空に飛び立ち群舞するさまは、なんとも力強くのびやかで、華やぎがあり、そこに少し筆を寝かせ気味に、あるいは太く、あるいは繊く、のびのびと、何ら臆することなく書かれた和歌の書が、あたかもその心をうたうようで、あの歌巻には見るたびに酔わせられます。 ☆中野孝次さんの本(既読) 「ブリューゲルへの旅」中野孝次著、河出書房新社、1976.02.20 「ハラスのいた日々」中野孝次著、文春文庫、1990.04.10 「清貧の思想」中野孝次著、草思社、1992.09.16 「五十年目の日章旗」中野孝次著、文春文庫、1999.08.10 「「悦楽の園」を追われて―ヒエロニムス・ボス」中野孝次著、小学館、1999.05.10 「道元断章―『正法眼蔵』と現代」中野孝次著、岩波書店、2000.06.15 「風の良寛」中野孝次著、文春文庫、2004.01.10 (2021年1月24日・記) (「BOOK」データベースより)amazon 柔軟にして強靭な日本人の原像を浮き彫りにする本阿弥一族の壮大な精神世界。

Posted byブクログ