エンドルフィン の商品レビュー
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◆覚醒剤として恐怖の対象となるアヘンは、実は、人間の脳内で自産が可能だった??。その特異な脳内物質の発見と機序を化学的に解説。ペインコントロールは可能か、いかに欝の症状を改善させるかにも言及◆ 1992年(原本1988年)刊行。 著者はオーフストラ大学心理学教授。 ◆副題にあるアヘン。痛みを軽減させ快感を齎す一方、強い常用性と依存性という副作用は精神の耽溺と経済破綻を招来せしめ、アヘンをして天国と地獄の象徴とまで言わしめるに至っている。 しかし、では何故、かような鎮痛効果と依存性が生み出されるのか?。 それは脳内での生化学反応が具体的に解明されて初めて判明してきた事柄である。その天然自産のアヘンこそ、エンドルフィンという脳内物質である。 本書は、この脳内自産のエンドルフィンの発見過程を、脳の化学的な統制機構の分析・解明を踏まえて検討していく。 そして、この脳内物質が生物の進化の過程の中でどのような位置を占めており、エンドルフィンの分泌が、ヒトにおいてどのような影響を齎すのかを検討していく。 少し古い書だが、いわゆる薬物嗜癖の恐怖を化学的に理解でき、他方、天然アヘンであるエンドルフィンを十分放出させることの意味とその方法論もまた、人間の愛や優しさの発揮という観点で興味をそそる叙述である。
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