フィッツジェラルドをめざした男 の商品レビュー
ホーギー・シリーズの…
ホーギー・シリーズの第3弾。シリーズ中でも好きな一冊です。アメリカン・ミステリー賞、エドガー・アラン・ポー賞受賞作
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主人公はベストセラー…
主人公はベストセラー作家!ある日ノイエスの伝記を依頼され・・・・・アメリカミステリー!
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ゴーストライターのスチュワート・ホーグシリーズ、1991年発表の第3弾。 今回の依頼は、フィッツジェラルドの再来と謳われた新進気鋭の小説家キャメロン・ノイアスの回想録。大学時代に執筆した処女作が大きな反響を呼び、華々しいデビューを果たすものの、第2作以降が全く書けなくなっていた。...
ゴーストライターのスチュワート・ホーグシリーズ、1991年発表の第3弾。 今回の依頼は、フィッツジェラルドの再来と謳われた新進気鋭の小説家キャメロン・ノイアスの回想録。大学時代に執筆した処女作が大きな反響を呼び、華々しいデビューを果たすものの、第2作以降が全く書けなくなっていた。ノイアスの旧友で著作権代理人サミュエルズにとって、溢れ出る才能と魅力的な容姿で一躍時代の寵児となった若者の名を留めることは喫緊の課題だった。 ホーグは、文学界の旗手として名を馳せながらも、その後は鳴かず飛ばずとなり、不本意な生業で生きている己自身と重ね合わせる。かつての自分の姿が、そこにあった。煌びやかな世界は、裏を返せば、さもしい俗物らの巣窟である。その象徴の如き〝文壇〟へと戻ったホーグは、ノイアスの取り巻きである出版社の編集長や文芸評論家らの間を渡り歩く。やがて、浮かび上がるノイアスの深い闇。ホーグは、不可解な殺人事件の幕開けとともに、入り組んだからくりの中へと絡め取られていく。 飜訳された当時は〝都会的でお洒落〟という惹句がついていた。確かに、舞台設定や会話などからは、モダンで洗練された印象を受ける。ただ、シャープなセンスに溢れてはいるが、プロット自体は極めてハードで、読後感も決して軽くはない。主人公の眼を通して人間の業を冷徹に捉えており、ハードボイルド本来のスタイルを踏襲している。カネと名誉、愛憎と虚栄。それらにがんじがらめとなった者どもの醜態を、容赦無く描き切っている。 文体はスマートで心理描写も巧い。本シリーズの一人称は〝僕〟だが、まず妥当だろう。ホーグが元妻のリリーに寄せる愛情、常に主人公と同等に行動し感情表現も豊かな愛犬ルルの可愛らしさが、決して物語の邪魔にならず生彩を与えている。 挫折を知る者だからこそ、他人の弱さやしたたかさを敏感に掴みとれる。その繊細な顔の裏にある飽くなきタフネス、正義を求める心こそが、複雑な人間関係を紐解き、恥辱に満ちた真相へと近付ける基盤となっている。 オシャレで軽めのミステリという先入観で読めば、本シリーズの本質を見失う。ハンドラーは、なかなか侮れない作家なのだから。
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若き天才小説であるキャメロン・ノイエスの自伝の執筆を依頼されたホーギーとその相棒ルル.かつての自分とどこか似ているノイエスに,友情を感じるホーギー. しかし,彼がインタビュを行う予定だった女性編集者が殺害される事件が起こる. これを境に,順調かと思われたノイエスの自伝執筆は,例の...
若き天才小説であるキャメロン・ノイエスの自伝の執筆を依頼されたホーギーとその相棒ルル.かつての自分とどこか似ているノイエスに,友情を感じるホーギー. しかし,彼がインタビュを行う予定だった女性編集者が殺害される事件が起こる. これを境に,順調かと思われたノイエスの自伝執筆は,例のごとく巨大な栄光の裏にある闇をとらえ始める. シリーズ1作目,2作目と読んできたが,最も面白かった.回を重ねるごとに面白くなる.
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
会話が面白く、文章のテンポが良く読みやすかった。読み終わる前はフィッツジェラルドとは破滅的な人生という意味でノイエスを示しているのだと思った。読み終えると偉大な作家という意味でトッドを示していたのかなと感じた。 ルルの行動が読んでいて面白かった。
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しばらく読んでいなかったデイヴィッド・ハンドラー。 でも実力派で、好感度もけっこう高い。 読んでないので好評なのはどれかな?と見つくろって… 新進作家キャメロンが約束に現れなかったので、その恋人のアーチストの所へ出向く主人公スチュワート・ホーグ。通称ホーギー。 彼自身、最初の一...
しばらく読んでいなかったデイヴィッド・ハンドラー。 でも実力派で、好感度もけっこう高い。 読んでないので好評なのはどれかな?と見つくろって… 新進作家キャメロンが約束に現れなかったので、その恋人のアーチストの所へ出向く主人公スチュワート・ホーグ。通称ホーギー。 彼自身、最初の一作は評価された小説家で、若い女優メリリーと結婚もしたが離婚、2作目で失敗。 2作目で結婚体験を書いたために、元妻とはさらに険悪に。 今はインタビュー作家となって、それなりに良い仕事はしている。 自身の若い頃を思わせるような作家キャメロン・シェフィールド・ノイエスとの出会い。 次の実験的な作品のゴーストライターになって欲しいというのが、エージェントからの依頼。 やり手エージェントのボイドは、キャメロンとは学生時代からの友達で、デビュー時の出版社とは確執があった。 キャメロンは初めて書いた小説を、学者で評論家のタナーに認められ、その外見もあって時代の寵児となっていたが、まったく書けなくなっているという。 会ってみたら、キャメロンは金髪に青い眼の繊細な少年のような顔と不釣り合いなほどたくましい身体をしていた。ラルフ・ローレンのモデルをしたこともあるという。 キャメロンにはスター性があるのだが、今は酒に溺れる生活で、コカインもやっている状態。小説も大して読まないで育った若者だが、実はホーギーの作品を読んで、衝撃を受けたのだという。 似た所のある育ちや、素直な笑顔に惹かれるホーギー。 バセット・ハウンド犬のルルをどこへでも連れて歩き、このルルは、元妻メリリーをママと認識しているので、ママの出ているテレビに気がつくと見逃さないのも微笑ましい。 メリリーもホーギーからの電話はすぐに切るが、大事な話だというとルルのことかと取り乱す。 長身で緑の眼をしたメリリーとは結局離れられない仲? ニューヨークのアートシーンがかいま見られるのも面白い。 破滅型の若者の煌めきと苦しみを見守る視線が、どこか切ない。 取材しようとするホーギーの行く先々で、事件が巻き起こる。 文学界の内幕を暴露しようという企画のせいか、家には脅迫状が舞い込み、ついに死体が… さて? インタビューを重ねていく構成なので、読みやすいです。 軽い話ではないんですが、とんでもない人物像がセレブっぽくて身近じゃないせいか、ホーギーやメリリーのお洒落な雰囲気やルルの存在のせいか、暗くはないですね。 ホーギーのシリーズ3作目なんだそうです。 1952年ロサンゼルス生まれ。 ドラマ作家としてもエミー賞を数度受賞。有名人の回想録のライターも経験したことがあるそう。 この作品は1991年発表。 MWAオリジナルペーパーバック大賞受賞。 この作家、日本では出版はされるけど、ある程度売れた後は絶版らしい…図書館か古本で?
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殺人事件とか、経歴詐称とか、色々と問題は発生してるんだけど、なぜかあまりミステリィのイメージはなかった。 森博嗣のオススメの100冊のうちの一冊。この作者のものがあと2冊入っているので、近日中に読む。
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ホーギーシリーズ3作目。初めて読んだときはすごくおもしろいと思ったんだけど、再読したら普通だった。でもチーズステーキの方のホーギーは相変わらずおしゃれで軽妙で素敵。ルルも。
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相変わらずお洒落な現代ミステリ。ただそれは本格味が薄いということではなくてユーモアとウィットに満ちていて読んでて面白いということ。破天荒なトリックや奇抜な論理はないけれど容疑者の心理に踏み込みそこから魅力的な解決を導き出す手際はすばらしい。レギュラーキャラの魅力も溢れんばかりであ...
相変わらずお洒落な現代ミステリ。ただそれは本格味が薄いということではなくてユーモアとウィットに満ちていて読んでて面白いということ。破天荒なトリックや奇抜な論理はないけれど容疑者の心理に踏み込みそこから魅力的な解決を導き出す手際はすばらしい。レギュラーキャラの魅力も溢れんばかりであるし。
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