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スペイン放浪記 の商品レビュー

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2015/07/08

 著名なイギリスの詩人が二十歳の頃、スペイン内戦直前の酷暑のイベリア半島をバイオリンを片手に徒歩で縦断したときの回想である。  砂漠化したような荒れ地に吹きすさぶ<熱風>というよりも<熱の振動>ともいうべき熱さのなかをひたすら歩み続け、ゴヤの絵そのままの農村を抜け、マドリッド、ト...

 著名なイギリスの詩人が二十歳の頃、スペイン内戦直前の酷暑のイベリア半島をバイオリンを片手に徒歩で縦断したときの回想である。  砂漠化したような荒れ地に吹きすさぶ<熱風>というよりも<熱の振動>ともいうべき熱さのなかをひたすら歩み続け、ゴヤの絵そのままの農村を抜け、マドリッド、トレドでは地元のボヘミアンと大騒ぎし、ジブラルタルではパスポートを見せてもイギリス軍衛兵からスパイか変人扱いをされ、マラガ近くでスペイン内戦に巻き込まれる等、話題は盛りだくさんで、1930年代のスペインの息吹きが活き活きと伝わってくる。  後のイギリス有数の詩人としての名声の基盤は、この時期に全身全霊で吸収した時代の空気によって形成されたところも多かったのだろうと想像される。

Posted byブクログ