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生は彼方に の商品レビュー

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2023/07/28

亡命先のフランスで出版されたミランクンデラ1973年の代表作のひとつ。 共産化の嵐が吹き荒れるチェコスロバキアにおける若き詩人ヤロミールとその母親の悲劇の物語。著者自身もそうであったように母子も時代に翻弄され、その生と自我に悩み抗う。 愚かさは悲劇を生み出すが、果たしてその愚かさ...

亡命先のフランスで出版されたミランクンデラ1973年の代表作のひとつ。 共産化の嵐が吹き荒れるチェコスロバキアにおける若き詩人ヤロミールとその母親の悲劇の物語。著者自身もそうであったように母子も時代に翻弄され、その生と自我に悩み抗う。 愚かさは悲劇を生み出すが、果たしてその愚かさはその人個人の責任だろうか?丁寧に描かれる母子の心情に読者は親愛と同情を持って寄り添う。 チェコを代表する文化人であった著者はプラハの春、その後の激烈な共産化に翻弄されたその数奇な運命によっても大いに関心を引くが、作品にもイデオロギーへの強烈な批判と人間への情愛が溢れている。本著は一部自伝的な作品だが、主人公の無垢で愚かなキャラクターは過去の自分への自虐でもあるのだろうか。 本書を読み始めたときに著者の逝去のニュースをみて驚いた。合掌。

Posted byブクログ