さぎ師たちの空 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
那須正幹さん御本人のお気に入りだったよう。 那須版スティングというかんじ。 家出した不良少年が、大阪に来て、詐欺師グループと親しくなる物語。 ピカレスクではあるが、児童文学なので、それなりに報復があるだろうと警戒しながら読む。 案の定、後半にはヤクザ相手にサギがバレて、主人公とその師匠のアンポおじさんが、半殺しの目に遭う。 このとき助けてくれた、不良青年、北野さんは大丈夫だったんだろうか…。怖い。 ラストには、その仕返しもして一件落着ではあるが、アンポは怪我がもとで生涯歩けないと言われ、主人公は広島に帰る。 仲間たちともそれきりだ。 さっぱり終わるところが良い。那須さんらしい。 印象に残ったのは、 この街に住むと、まとな人たちも堕落してしまう、というくだりと、温泉宿で主人公に対して一個年上の不良少女とセックスしろ、とアドバイスしてくるアンポさん。 事情を察した少女からは、それは、アンポさんが主人公を自分の近くに置いておきたいからだ、でもべつにセックスしても構わないよ、との返答。困惑する主人公…。 なかなかこれを児童文学では書けまい。 アンポさん周辺の赤い思想には、那須さんの心の叫びがある。 今、那須さんがこの視点から子供への物語を作るなら、当時よりさらに警鐘を鳴らすはずだ。
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はるか昔に読んだ。解説の川村たかし氏によると「悪漢小説(ピカレスク・ロマン)」。大阪のドヤ街が舞台。勧善懲悪でないのがいい。
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