矢来町半世紀 の商品レビュー
新潮社の新人編集者として晩年の太宰を担当した人のエッセイ。太宰の遺体引揚げも行ったようである。当然ながら贔屓目線ではあるのだが、書かれてる内容は殆ど事実であろう。ナマナマしい描写も結構ある。 三島に関しは編集担当はしていないようだが、交流程度はあったのかもしれない。この辺の事実関...
新潮社の新人編集者として晩年の太宰を担当した人のエッセイ。太宰の遺体引揚げも行ったようである。当然ながら贔屓目線ではあるのだが、書かれてる内容は殆ど事実であろう。ナマナマしい描写も結構ある。 三島に関しは編集担当はしていないようだが、交流程度はあったのかもしれない。この辺の事実関係はよくわからないが、太宰を嫌った三島を「稀代の逆説家」として解釈し、テイストの違う両者には通低するものがあるとし、近代日本批判者として三島は太宰の直系であると評価する。 以前、インタビューで学生から「太宰をどう評価しますか?」と聞かれた三島は「嫌いだ。だけど、それは似ているところがあるからかもしれない」と答えていた事を思い出した。両者の類似性と差異性のみならず系譜性については、文学研究だけでなく、昭和という時代を考える上での興味深い切り口になるのかもしれない。
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