ミカドの肖像(下) の商品レビュー
前半では、上巻に引き続いて、欧米で広く上演された「オペレッタ・ミカド」と、そこに見られる欧米人の日本社会に対する視線が分析の対象に取り上げられています。 著者は、文化人類学者の山口昌男が提唱した「中心・周縁」図式を二重に適用することで、天皇制を抱え込んだ近代国家である日本の特質...
前半では、上巻に引き続いて、欧米で広く上演された「オペレッタ・ミカド」と、そこに見られる欧米人の日本社会に対する視線が分析の対象に取り上げられています。 著者は、文化人類学者の山口昌男が提唱した「中心・周縁」図式を二重に適用することで、天皇制を抱え込んだ近代国家である日本の特質を考えようとしています。オペレッタ・ミカドは、天皇制を持つ日本という近代国家が、欧米の視点からは「周縁」的な存在として扱われてきたことを示しています。ところが、日本国内に目を移すと、天皇制はまさに近代国家の「空虚な中心」の位置を占めています。 後半では、明治天皇の御真影がイタリア人画家のキヨソーネによって描かれたものであることを詳しく追求しています。さらに著者は、志賀重昂の『日本風景論』の考察を通じて、複製技術時代において近代国家がさまざまな記憶資源をみずからのもとに統合してきたことに触れ、御真影の謎を同じような視角から読み解こうと試みています。 何か定まった結論があるわけではありません。ただ読み終えて、日ごろワイド・ショーなどで目にするにこやかな皇族たちの姿とそれを迎える大衆のまなざしに、何とも落ち着かない気分を感じてしまうようになりました。
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結局、上巻冒頭の「禁忌x1」「禁忌x2」が上下巻通じて一番面白かったな。オペレッタミカドの話も、明治天皇のよくみる肖像がキヨソーネという人による絵だったというのを中心にした話も、いろんなことがいろいろでてくるけど、それらが有機的に結びついて…というところまで行かなかったように思え...
結局、上巻冒頭の「禁忌x1」「禁忌x2」が上下巻通じて一番面白かったな。オペレッタミカドの話も、明治天皇のよくみる肖像がキヨソーネという人による絵だったというのを中心にした話も、いろんなことがいろいろでてくるけど、それらが有機的に結びついて…というところまで行かなかったように思える。理解が足らなかったら申し訳ない。天皇制を中心にしていろんな話が放射線状に広がってるようなイメージ。
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