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2010/04/12

フランス第三共和政下(前後含む)において、“性”に対する人間の感覚・感情の移り変わりが、理論的に論じられている。タイトル通り「娼婦」並びに「売春」を中心に語られているけれども、性全般について広く、様々な観点から論じられている。 これより先(12月)に、コルバンの長い補記付きの、パ...

フランス第三共和政下(前後含む)において、“性”に対する人間の感覚・感情の移り変わりが、理論的に論じられている。タイトル通り「娼婦」並びに「売春」を中心に語られているけれども、性全般について広く、様々な観点から論じられている。 これより先(12月)に、コルバンの長い補記付きの、パラン=デュシャトレ著『十九世紀パリの売春』を読んでいる。 で、コルバン曰く「ここで論じられているのはバルザックの時代の娼婦であって、ゾラの時代のそれではない」(パラン=デュシャトレは19世紀前半の人) つまり、「十九世紀前半の娼婦であって、後半のそれではない」と。その時にはふーんそうなんだー・・・と思った程度で、なにがどう違うのかは不明だったんだけれども、今回『娼婦』を読んで、その差が明確になって、なんかほっほーほほほほ〜実に目鱗。(なにそれ) 十九世紀前半においては、パリの人口比においての男女のバランスが悪い。地方から働きにやってきた“単身の労働者男性”が多いことから、必要とされているのは、即物的な欲求のはけ口としての“売春”だった。その辺は江戸における買売春でも似たり寄ったり。 時代が下るに従って、単身労働者層が家庭を持つことにより減っていき、即物的な欲望のはけ口を必要としなくなっていく一方で、買売春のターゲットが、力をつけたブルジョワ層へと移っていく。即物的ではなく、いわゆる嗜好としての欲望のはけ口として。へー。 それを、例えば公衆衛生とか家庭の問題とか、都市問題、イデオロギーの問題、etc・・・等々、様々な史資料を使って示していくので、納得しやすい。あと、文学における描かれ方とか…時代時代によって、どういう意識に縛られて、作者が性を扱っているのか、云々。

Posted byブクログ