旅人たちのバンクーバー の商品レビュー
田村俊子ファンなら、…
田村俊子ファンなら、彼女の素顔が垣間見れるようで、嬉しいんじゃないでしょうか。
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明治の美人作家、田村俊子が不倫の恋の果てにカナダ・西海岸で過ごした14年間を追って、著者は同じ年齢(34歳)でこの街に再び俊子の辿った人生を想う。バンクーバーという街の魅力は全く語られていませんが、山本宣治の日記に大正時代の街なみを想像する場面は、私自身の叔父が住んでいる街である...
明治の美人作家、田村俊子が不倫の恋の果てにカナダ・西海岸で過ごした14年間を追って、著者は同じ年齢(34歳)でこの街に再び俊子の辿った人生を想う。バンクーバーという街の魅力は全く語られていませんが、山本宣治の日記に大正時代の街なみを想像する場面は、私自身の叔父が住んでいる街であるだけに特別の感動を感じます。そして新渡戸稲造、世界のオペラ歌手・三浦環、悲劇の日系二世ボクサー・パンチ加藤(佐藤ではない!)、有島武郎の「或る女」が描く太平洋を渡る写真結婚妻たち、田村俊子が追いかけてきた、そして結局捨てられた男・鈴木悦・・・彼らが踏みしめたバンクーバーの街。遊泊の淋しさと自由さをしみじみと味わうことが出来る佳本でした。
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