あしながおじさん の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
あしながおじさんがあの手この手でジョディーを甘やかそうとするのに、本人が(特に経済的に)かなりストイックにがんばるのが好感が持てる。あと、何度もこの本読んだことがあるんだけど、ジャービス坊っちゃん=足長おじさんって読者にわかるようにかなりはっきり書かれてるなあ、ということに今更気づいた。以前読んだ時は、それとなくほのめかされてるけどそれほど明示されてないと思ってたけど。あとこれ、二回目以降はどうしても足長おじさん視点っていうか足長おじさんを愛でる視点で読んでしまうのは仕方ないですよね。ジミーと遊びに行く旨を手紙に書いてすぐおじさんから横槍が入る(しかも強制される行き先はジャービス坊っちゃん立ち寄り所)ところとか、もうそういう楽しみ方でしか読めないもの・・・二度おいしい。 ところどころ謎な翻訳(ふい試験って・・・抜き打ちテストの方が自然じゃない?)もあったけど、元の作品がいいので評価は揺らがない。 最初にこの話を知ったのが名作劇場のアニメだったのでどうしてもそれとの比較になるのだけど、ジュリアがこれまでの自分を反省して変わる点と、ジョディーが最後に自分の口から出自を明らかにするかがアニメとの大きい相違点だと思う。まず最初の点については、ジュリアがジョディとの衝突を通して自分の価値観を省みること、その結果お互いの距離が近くなること、というのは、アニメの方ではジャービス坊っちゃんとの恋愛と並ぶ大きな柱だったので、それがないのは物足りない気がした。小説だと、ジャービス坊っちゃんがジョディーと会うための口実としてひたすら使われてる感じ。まあ現実には、衝突してたルームメイトと何度も喧嘩して分かり合っていくなんて展開はそうそうないので、これも自然といえばそうかなあ。でも思春期って、そういう展開がありうるほとんど唯一の時期だと思うので、せっかくだからそこまで踏み込んでもよかったかなあ。2つ目、ジョディーは孤児院出身だとカミングアウトできなくて、それが理由でジャービス坊っちゃんの告白を一度は断るのだけど(ここまではアニメ小説共通)、アニメの方では結局卒業生答辞みたいなので全校生徒(おじさんもゲストにいたかも)の前でカミングアウトする、という筋書きだった。あれは、出身にこだわってた過去の自分と決別する大きな成長のステップとして、相手がクラスメイトにしろおじさんにしろ、とにかく自分の口からそのことを告白するということが意味があることだと思う。一方小説の方は、ジャービス坊っちゃんの方から「私が足長おじさんだよ」と言ってくれるのだけど、なんかそれだと人生イージーモードっていうか、やっぱりどうして始めの告白を断ったかは自分の口から説明するべきなんじゃないかなあ。現実にはそれ言っちゃうといろいろめんどくさいこともあるから、最後まで周りに自分からは言わないっていうのもありかもしれないけど、そんなこんなで総合的にアニメ版の方が私は好きだ。
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