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夢の壁 の商品レビュー

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2024/05/17

星4.5 「夢の壁」(芥川賞) 「北京海棠(かいどう)の街」の2篇 著者の加藤幸子さんが亡くなられたという記事を読んで、知らない作家さんだったが読んでみた。 2作とも、幼少期を北京で過ごした著者の体験をもとにした話だと思われる。両方とも佐智という日本人少女が主人公。 子供ですら...

星4.5 「夢の壁」(芥川賞) 「北京海棠(かいどう)の街」の2篇 著者の加藤幸子さんが亡くなられたという記事を読んで、知らない作家さんだったが読んでみた。 2作とも、幼少期を北京で過ごした著者の体験をもとにした話だと思われる。両方とも佐智という日本人少女が主人公。 子供ですら中国人を見くだす側から、終戦を挟んで立場が逆転した様子が、街中や学校を舞台に描かれる。中国人の車引親子や朝鮮人の学友との交流も描かれる。 そして、今はほとんど残っていないと思われる北京の胡同の描写が美しい。 もっと、他の人にも読んでもらいたい本だった。

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2013/09/27

1982年下半期芥川賞受賞作。唐十郎との同時受賞だった。著者が5歳から11歳までを過ごした中国での体験が語られている。回想記風の文体で描かれるが、小説の前半2章は中国人少年の午寅に視点が据えられ、時制は戦中である。そして、3章以降は戦後に移行すると共に、視点人物も佐智に引き継がれ...

1982年下半期芥川賞受賞作。唐十郎との同時受賞だった。著者が5歳から11歳までを過ごした中国での体験が語られている。回想記風の文体で描かれるが、小説の前半2章は中国人少年の午寅に視点が据えられ、時制は戦中である。そして、3章以降は戦後に移行すると共に、視点人物も佐智に引き継がれる。それは、著者の、中国人と日本人を相対的に描くための方法だったのだろうが、意図はともかく必ずしも成功しているとは言い難い。また、中国の風土や空気感はよく表出されているが、主題はあまりにも素直で尖鋭なところが感じられない。

Posted byブクログ