ゼウスガーデン衰亡史 の商品レビュー
これぞ物語を読むことの快感! 再読 11111111 19991031 ----- 20201013 ★5 何度目かの読了だが、これはもう、まったくもって、文句なく、星5つ。 うらぶれた下高井戸の遊技場が急速にその勢力を拡大し、やがては治外法権の独立国家としてその名を世界中...
これぞ物語を読むことの快感! 再読 11111111 19991031 ----- 20201013 ★5 何度目かの読了だが、これはもう、まったくもって、文句なく、星5つ。 うらぶれた下高井戸の遊技場が急速にその勢力を拡大し、やがては治外法権の独立国家としてその名を世界中に知らしめ、圧倒的な富と権力を築き上げていく。 流麗な美と奇抜なアイディア、エロスとグロテスクが相俟った快楽の聖地「ゼウスガーデン」を巡り、愚かしくも愛らしい奇々怪々な登場人物たちが、おのが権力を誇示し守らんと跳梁跋扈する様を、作者による独特の語り口でグイグイと読み進ませる。それはまさに栄枯盛衰の歴史であり、壮大な法螺話である。 そこにあるのは高尚たる叡智か? それとも深遠なる真実か? 否、そのようなものを得るための作品ではない。ここにあるのは、とにかくもう「物語を読む」という快楽のみ。その一点にのみ溺れて読み進めることが無上のおもしろさとなるのだ。 ----- 20240608 再読 ★5 本当におもしろい そして90年間続いた快楽の大帝国の末路には無常感さえ漂う 解説にあるようにたしかに各登場人物の内面は最低限に絞られ 物語を俯瞰する神の視点が強調されている その神はところどころ皮肉屋で残酷で残虐で淫靡で独特の審美眼により世界を構築し破壊していく 唯一の例外が月島柳之介 彼だけはその悲しみとそれでも快楽を欲する内面を幻想的な描写で語られている 小説というよりは叙事詩? 神話が神々の内面よりもストーリーとしての物語で描かれているのと同じ? 川上弘美「大きな鳥にさらわれないように」は内面を描いていただろうか? -- ゼウスガーデンに惹かれたポイント まずほら話のベースになっているいろんなネタが個人的な好みとか知識とか興味とけっこう被っていること、これはもしかすると逆でゼウスで読んだことによってそうなったのかもしれないけど今となってはよくわからない あと語り口の軽妙さ、面白さ、改行も含?めて 人物の内面よりも物語性の面白さを優先したことによってとにかくどんどんどんどん読み進められる、深いことを考えずにとにかく先へ先と読ませるストーリーテリング 映像でもなくマンガでもなく文章だからこそできる圧倒的に稀有壮大なスケール感 同じような内容をずっと羅列していく描写、こういうの好きなのだ 明治時代の貴族院議会政治をパロディーにしたところ、そしてそこに続々と出てくる魅力的なキャラクターたち、その弁舌などなど、ギャグとまではいかないけども、スラップスティック的?な面白さがある そもそも最初に読んだきっかけはなんだっけ?? 大学生協に平積みになってたとか?
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天才的な変人と実務能力に長けた人物である双子の兄弟が、 最初はちょっとした遊園地を造っただけだったのだが、 利用者(=消費者)の欲望に応えるように、 アトラクションが増え、巨大化し複雑化して、 それはいつしか単なるアミューズメントパークの域を超えて肥大。 中枢に座す人々は権謀術数...
天才的な変人と実務能力に長けた人物である双子の兄弟が、 最初はちょっとした遊園地を造っただけだったのだが、 利用者(=消費者)の欲望に応えるように、 アトラクションが増え、巨大化し複雑化して、 それはいつしか単なるアミューズメントパークの域を超えて肥大。 中枢に座す人々は権謀術数を巡らし、 権力闘争に明け暮れるようになる――。 人が組織を動かしているのではなく、 目に見える実体のない組織が勝手に意思を持って、 自己増殖するために 人間を手駒として操っているかに映るところが怖い。 ……が、やっぱり流行ったものは廃れるワケです。 人気が下火になると、 客足を取り戻すために下卑た方向へ流れ出すというのは、 現実に、グラン=ギニョル劇場の例などもあって、 うんうんと頷かされる。 奢れるものは久しからず(笑)
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