うら庭の水の精 の商品レビュー
パウゼヴァングは作品に必ず弱者あるいは少数派を描く。 水の精は古くは女性の姿が多く、子どもの姿のものも児童書では多いが、この水の精は男性。 そして、水の精に少数民族、有色人種が投影されいているのは間違いない(著者があとがきで書いている)。 物語としては昔話風の形式も取り入れている...
パウゼヴァングは作品に必ず弱者あるいは少数派を描く。 水の精は古くは女性の姿が多く、子どもの姿のものも児童書では多いが、この水の精は男性。 そして、水の精に少数民族、有色人種が投影されいているのは間違いない(著者があとがきで書いている)。 物語としては昔話風の形式も取り入れているが、ちょっと風変わりなところがとてもいい。 でも、水の精に少数派を託すのなら、歌だけでなく、もう少し水の精の「文化」を感じさせるシーンがあっても良かったかなと思う。それに、おばに水の精は「醜い」と言われ、そんなこと今まで考えたこともなかった王女が、彼のことを「醜い」と思いだすあたりはリアリティがあっていいと思うのだが、彼を愛し始めてからも「醜い」という意見を否定しなかったのが残念だ。もちろん、彼に一番似た子どもが特に可愛いと書いてあるので、やんわりと否定はしてあるのだが。 水の精が悪いおばさんをやっつけるのではなく、びくびくおどおどしながらも、王女のために勇気を振り絞ってどうにか追い出す、というのが平和主義のパウゼヴァングらしい。 復刊してほしいな。
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