金塊船消ゆ の商品レビュー
太平洋戦争中の出来事は、ほんとうに目を覆いたくなるようなものが多い。いくら先に旧日本軍が攻撃を仕掛けたとは言っても…、と思ってしまう。この作品も、それをえがいた作品である。それも、特に悲惨だった(場所のひとつ)であろう、東南アジアで従軍していた人びとが見たものを。 多島は戦争を...
太平洋戦争中の出来事は、ほんとうに目を覆いたくなるようなものが多い。いくら先に旧日本軍が攻撃を仕掛けたとは言っても…、と思ってしまう。この作品も、それをえがいた作品である。それも、特に悲惨だった(場所のひとつ)であろう、東南アジアで従軍していた人びとが見たものを。 多島は戦争を直接は知らない世代の人だったが、資料越しでも辛いものがあったらしい。途中で書けなくなった、とあるインタビューで発言していたのを読んだ。確かに最前線の凄惨さ、旧日本軍上層部の浅ましさを的確に描写しているので読むほうにとっても辛い…。戦後の金塊船捜しで「戦争が終わっても浅ましい人間は浅ましいまま」という現実を突きつけられるのも辛いところである。 ということで、書くほうもきつかったらしいこと、読むほうもきついことは確かである。しかし、金塊船捜しのストーリー自体にはワクワクしながら読み進めたし、戦時下の日本で起こったことを知る意味でも読んでよかったと思う。
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戦後40年、沼津で印影業を営む鳥居の元に差出人不明の親展が届く。 出征していたフィリピンのバターンで極秘指令として実施された4箇所でのかがり火?について関係者で集まってお話ししましょう、という内容のもの。 手紙にははっきり書いていないが、日本軍がかがり火を目印に金塊船を沈めたので...
戦後40年、沼津で印影業を営む鳥居の元に差出人不明の親展が届く。 出征していたフィリピンのバターンで極秘指令として実施された4箇所でのかがり火?について関係者で集まってお話ししましょう、という内容のもの。 手紙にははっきり書いていないが、日本軍がかがり火を目印に金塊船を沈めたので、それを皆で山分けしませんか?ということらしい。 現代である昭和の終わり頃と戦中、昭和36年を行き来して物語は進んで行きます。 映画化したら面白いと思うんだけど、私の主人公のイメージは菅原文太さんだったので、亡くなっていて残念。。(ご冥福をお祈りします。)
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枯れた男の浪漫漂う一作。主人公が何でも出来るタイプの人間でないことに好感。 山田正紀作品に近いものがあった。
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