再生産 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
支配のために再生産する学校教育 いつか勉強した「市場は資産を持つ者に需要があるものを生産する」というのに似ているなぁと感じた。 私欲のために支配する・される構造を想像する。 教育は支配階級の言葉遣いや文化を恣意的に教え込む傾向にある。それは紛いもなく支配階級がイニチアシブを取り続けるために効果的だからだ。 1970年代に彼が指摘した教育が生み出す社会構造は、半世紀経った現在でも変わらない。支配する者の私利私欲が垣間見えたような気がした。 本来幼児期の家庭環境や他者との言語を通したコミュニケーションから習慣そして志向、性格へと成長していく。しかし、性格を構成する習慣や語彙などが恣意的に教え込まれる学校教育内容と一致していないほど、学校での評価が低く、低学歴、主観的将来展望が低くなっていく。結果的に、支配階級は支配階級の、労働者階級は労働者階級の再生産がなされる。 学校教育は恣意的な教育内容の習得効果を試験という形で評価をなすためである。 一見平等に思える上記のような評価システムは、実際は結果に平等はもたらさない。再生産までの時間を延長させているに過ぎないのだ。 また、教育システムを担う教員の採用試験にも同様のことが言える。教育システムはシステムを担う教員の価値観や文化をも再生産している。 教育機関の最高峰「大学・大学院」は、今も裕福な家庭のための、ないしは社会で権利を得るための顔パスにしか過ぎないのだろうか。
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『ディスタンクシオン』のほうが読みやすいように思うけど、一部の定義づけやらが終わると、二部はクスっとするようなこともたくさん書いてある。 たとえば、社会学は低労力で先生しやすいよ、とか。(今は飽和しちゃってそうでもないかもね。) また、こうやって権威を落とす↑ような反応をす...
『ディスタンクシオン』のほうが読みやすいように思うけど、一部の定義づけやらが終わると、二部はクスっとするようなこともたくさん書いてある。 たとえば、社会学は低労力で先生しやすいよ、とか。(今は飽和しちゃってそうでもないかもね。) また、こうやって権威を落とす↑ような反応をするのは、理解に到達できないバカ学生の態度ですよ、とも。 但し、そもそも先生だって理解を相互に深めようとかコミュニケーションしてるわけでなく、一方的に意見を押し付けたいだけなのです、とか。対話・ディスカッション形式であっても、いかに我田引水するかということに懸命、と。 おもしろいのだけど「再生産」のフレーズとそれをとりまく装飾は、文化資本を持ち合わせ、ハビトゥスに生の大部分を捧げているときに、「これでよいのだ」と励まされる応援ソングであり、童話なのかもしれない。(状態として、権力を保温あっためするに過ぎない無機質な仕組みのただのパーツになってるのだとしても。) そんなふうな感想を抱くのは、「シュワの墓所≒死」や「クラシックをきくのをやめてハートをRock」といった敗戦後の「大衆は生き生きとしたミニマムな幸せを追求しよう」だった20世紀末日本に毒されすぎているせいだろうか。あとは、ビッグバンを想像するぐらいの距離感で読んでるので、面白いなぁ~と思えるんだろうね。 そのほか、法学部・医学部は上級階層出身者、文学部・理学部は下級階層出身者が多い、等。1960年代あたりのことなので、いまはどうだろうね。この少し前までは、上級階層に、文学部・理学部が多かったそうだが。経済合理性と階級構造をつなぐテクノクラート信仰に因って、不生産的な専攻に半場押し込められる学生、ということらしい。 教育と社会階級構造について述べるなら、必読だろうし、この界隈を突っ込んで考えたくなったとき多くのインスピレーションを与えてくれる本だろう。 けど、階級絡みに関しては少しクラシックすぎる考えになってきた風もあるし、もう少し異なる視点や、最近の見解を知りたいので、しばらくはこの本は開かず、別の本を読みたいな、という感じ。(・・と書きつつ、もう一度精読したいなぁ、と思ってる。)
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本書はフランスの社会学者ピエール・ブルデューが1970年に書いた本を翻訳したものである。内容は、教育の現場におけるあらゆる再生産のシステムを解説したもので、第一部は定義集とその解説、第二部はそれらを利用して1960年代のフランスの教育を解説している。 本書の洞察は、誠に鋭い。とて...
本書はフランスの社会学者ピエール・ブルデューが1970年に書いた本を翻訳したものである。内容は、教育の現場におけるあらゆる再生産のシステムを解説したもので、第一部は定義集とその解説、第二部はそれらを利用して1960年代のフランスの教育を解説している。 本書の洞察は、誠に鋭い。とても40年前に書かれたものと思えないほど、今日の日本に置ける教育や社会現象などにも十分な示唆を与えている。また実際結構難しいので一回読んだだけでは内容は完全には飲み込めないと思う。私は教育経済学専攻だが、この本から得られる示唆は結果的に出はあるが必要不可欠なものであり、読んでおいて良かった。それ以外にも教育をとりまく学問においても避けては通れない一冊だと思う。
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[ 内容 ] [ 目次 ] 第1部 象徴的暴力の理論の基礎(教育的働きかけの二重の恣意;教育的権威;教育的労働について;教育システムについて) 第2部 秩序の維持(文化資本と教育的コミュニケーション;教養人的伝統と社会の自己保存;排除と選別;独立による従属) 付論 高等教育進...
[ 内容 ] [ 目次 ] 第1部 象徴的暴力の理論の基礎(教育的働きかけの二重の恣意;教育的権威;教育的労働について;教育システムについて) 第2部 秩序の維持(文化資本と教育的コミュニケーション;教養人的伝統と社会の自己保存;排除と選別;独立による従属) 付論 高等教育進学機会の構造の変化―変形か、それとも転移か [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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