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アルマジロ王 の商品レビュー

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2012/01/19

放浪と空虚と敗北の物語。 国籍も個人の歴史も生物学的分類も人間的感情も信仰も、すべては幻想で真実ではない。食欲・性欲も、生きるための欲というものは他人を通してしか生まれ得ず、「わたし」というものの欲望なんてどこにもない。透明になっていく。そして緩慢で怠惰で渇望された死に向かう。 ...

放浪と空虚と敗北の物語。 国籍も個人の歴史も生物学的分類も人間的感情も信仰も、すべては幻想で真実ではない。食欲・性欲も、生きるための欲というものは他人を通してしか生まれ得ず、「わたし」というものの欲望なんてどこにもない。透明になっていく。そして緩慢で怠惰で渇望された死に向かう。 この小説に収められた物語をわたしなりに解釈するとこんな感じでした。それにしても、物語を自分の言葉で語り直す、自分の中に取り込んで自分の物語にする、といった作業は本当に難しいですね。 無、”ブランク”である自分を見つめること。何にも守られていない個人の巡礼はどうなるのか。他者の欲望を介在させることを拒めば、飢えて死ぬだけ。

Posted byブクログ