哀しい目つきの漂流者 の商品レビュー
100年前にカナダ・バンクーバーの近郊で娼婦だったメイプルという女性が自分の祖母ではないか、との手紙を受けた著者が、自らの著書「カナダ遊妓楼に降る雪は」に実名、写真を載せていたことの罪悪感を感じて調査を始める。滋賀県出身のコトがその人なのか?当時の荒々しいささくれだった開拓地の美...
100年前にカナダ・バンクーバーの近郊で娼婦だったメイプルという女性が自分の祖母ではないか、との手紙を受けた著者が、自らの著書「カナダ遊妓楼に降る雪は」に実名、写真を載せていたことの罪悪感を感じて調査を始める。滋賀県出身のコトがその人なのか?当時の荒々しいささくれだった開拓地の美しいカナダの自然とのギャップを、そして不幸な女性たちの人生には心が傷みながら思いを馳せた。著者は初めは汚れてしまった不幸な女性を探る旅だったのが、自らもカナダに移住した者として、精一杯に生き抜いたコトたちに共感を抱き、決して恥ずべき親族の過去ではないことを感じるところで、この探査行は終わる。余韻の残る終結であった。
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