1,800円以上の注文で送料無料

南方熊楠コレクション(第3巻) の商品レビュー

4

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2013/08/05

「性」のテーマで集められたアンソロジーだが、ふつうに民俗学/人類学の論文集である。 近親相姦、アナルセックス、ホモセクシュアルなどなど、性の博覧会的な本で、各国文献から渉猟された話が続々と出てくる。 意外にも熊楠は「こんな話はうんざりする」とか、春本はつまらないとか言っているし、...

「性」のテーマで集められたアンソロジーだが、ふつうに民俗学/人類学の論文集である。 近親相姦、アナルセックス、ホモセクシュアルなどなど、性の博覧会的な本で、各国文献から渉猟された話が続々と出てくる。 意外にも熊楠は「こんな話はうんざりする」とか、春本はつまらないとか言っているし、彼自身にどうやらホモっ気も何もないばかりか、40代で結婚するまで女と縁もなかったようで、どうやら「純粋な興味」から、こうした話を集めたらしい。 世の中には多種多様な「変態」さんたちがいるようだが、ごく「普通」な私も「異常」な話を好んで読んでいるので、学問的好奇心にせよ単なる野次馬根性にせよ、とにかく「好奇心」はパワーを秘めているのだ。行動や実際の生活様式と「好奇心」パワーとは、全然別の話なのかもしれない。 そういう「パワー」はやはり熊楠的なところと言ってよいのだろう。強靱なバイタリティの中にすべてを引き込み、おおらかでたくましい「コンテクスト」を作り上げている。 なお、相変わらず巻頭の解題で中沢新一氏が、自身のコンテクストに強引に結びつけた牽強付会な「解説」を展開しているが、気にしなくて良いと思う。

Posted byブクログ