醒めた炎(4) の商品レビュー
【醒めた炎 木戸孝允(四)】村松剛著、中央公論社、1990年 木戸孝允を通じて150年前の明治維新について迫る本書の最終巻。 本書は、嘉永6年(1853年)にペリーが黒船に乗って来航したところから24年の歳月を、日経新聞の日曜版に昭和54年〜昭和62年に8年かけて書いたものに...
【醒めた炎 木戸孝允(四)】村松剛著、中央公論社、1990年 木戸孝允を通じて150年前の明治維新について迫る本書の最終巻。 本書は、嘉永6年(1853年)にペリーが黒船に乗って来航したところから24年の歳月を、日経新聞の日曜版に昭和54年〜昭和62年に8年かけて書いたものになる。村松は「木戸の生涯をえがくことによって、明治維新という国民国家の形成過程を改めて考えてみたいというのが、本書執筆に当たっての筆者の念願だった」とあとがきで書いている。 本巻では、明治4年(1871年)の岩倉使節団から始まり、明治10年(1877年)の西南戦争の途中で享年45歳で木戸孝允が癌で亡くなったところで著者は筆を置いている。岩倉具視を中心とした明治政府は、征韓論や台湾出兵が大きな火種としてそれぞれの思想と人間関係の好悪が相まって、言葉を選ばずに言えば、ぐちゃぐちゃになる。このぐちゃぐちゃ加減が、「明治」を膨張させ、帝国主義になっていくのではないだろうか。日清、日露、日中の戦争と太平洋戦争へと突き進む70年と、敗戦後の復興の70年はすでにこの時にその芽があったのではないだろうか。 ちなみに 維新の三傑といわれた西郷、木戸、大久保は40代後半で相前後して亡くなっている。 西郷隆盛(49歳、1877年) 木戸孝允(45歳、1877年) 大久保利通(47歳、1878年) 一方、この後も明治時代を担った人は、長命だ。 岩倉具視(57歳、1883年) 伊藤博文(69歳、1909年) 大隈重信(83歳、1922年) 板垣退助(82歳、1919年) 木戸孝允の墓は、京都東山にある京都霊山護国神社の一番高いところに妻の幾松と共に並んで立っているという。同神社は高杉晋作が発案した招魂社として設立され、坂本龍馬、中岡慎太郎、久坂玄瑞、高杉晋作などの幕末志士の墓もある。 明治、大正、昭和、平成と元号が変遷して150年。 来年、新しい元号に変わるが、明治を作った人たちは150年先をどう見ていただろうか。 そして、僕たちは、次の150年をどう見ていくのか、問われている気がした。 #優読書
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「巻末に詳細な出典一覧・人名索引を付す。昭和62年度菊池寛賞受賞の大作(アマゾン紹介より)」 このために、4巻だけプレミアがついています。…4巻だけ買いました。
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